プラなし生活について

私たち人類は、大量のプラスチックを生産し、また大量のプラスチックを消費・廃棄しながら生活しています。

プラスチックは、金属や木材、ガラスのように古くから使われてきた材料にはない、すばらしい性質をいくつも持っています。

プラスチックは、軽くて、安くて、丈夫で、形も自由自在に変えることが出来ます。また、化学物質を添加することで、耐熱性や、耐薬品性といった幅広い性質を与えることも出来ます。

プラスチックは私たちの生活に広く普及しており、様々な役割を果たしています。食料品の包装・容器、生地、家電、医療器具、建築材料など、私たちの生活と社会・経済を様々な側面から支えています。

もはやプラスチックなしの生活を想像すらことさえ不可能でしょう。そんな私たちの世代を、「プラスチック世代」と呼びます。

しかしプラスチックがごみとなったとき、21世紀における最も深刻な環境問題の1つを引き起こすことになります。

プラスチックは消えない

プラスチックが自然環境に廃棄されてしまうと、生分解されることはなく、極めて長い間環境中に残存し、生態系に深刻な影響を与えます。

世界中どこを探しても、プラスチックごみが見つからない海はおそらくもう存在しないでしょう。

外洋の表層から深海の海底、北極の氷の中、あるいは地球上で最も遠い無人島のビーチでさえ、いたる所に大量のプラスチックごみが見つかります。

プラスチックの利用は目に余る環境問題を生み出し、また目に見えない健康問題を引き起こしています。

私たちは、プラスチックについて、ちゃんと知っておく必要があるのです。

まだまだ低い日本での問題意識

日本は恐ろしいほどプラスチックであふれています。日本はプラスチックへの依存度が極めて高い国として有名です。1人あたりの年間のプラごみ排出量は世界第2位(UNEP 2018)。

特に使い捨てプラスチックの量は尋常ではありません。

お菓子ひとつとっても、クッキーを1枚ずつ、せんべいを一枚ずつ、丁寧にプラスチック製の袋に入っています。開けて食べて速攻でごみ箱行きです。

日本はおもてなしの文化なのか、お土産文化というか、「包装」に使うプラスチックの量がものすごく多いと感じます。

一方で日本はあまりにプラスチック社会に浸かっているため、プラスチック問題について関心が薄いのも事実です。

欧米諸国では、いくつもの団体が積極的にプラスチックごみ問題について声を上げています。

欧米では国レベル・州レベルで、使い捨てプラスチックの禁止、マイクロビーズの製造中止、プラスチック製のレジ袋の廃止といった予防策を取り始めています。

一方、日本ではまだプラスチックごみ問題に関する関心は比較的低いのが現状です。

日本ではプラスチックを全てリサイクルすることはできておらず、ほとんどが焼却されています。

また限りある資源を使い続けるのはナンセンスです。パリ協定でも明記されているように、いずれ温暖化ガスを排出する要因となるプラスチックを燃やすことも難しくなってくるでしょう。

プラなし生活とは?

重曹_ビネガー_クエン酸_掃除

このウェブサイト「プラなし生活」は、プラスチックをなるべく・出来るだけ使わずに暮らすためのヒントを集めた情報サイトです。

「なるべく・出来るだけ」と書いた理由は、日本ではまったくプラスチックなしで生活することはまだ不可能だと思ったからです。

インターネットで「plastic free(プラなし)」や「marine debris(海洋ごみ)」などについて英語で検索すると大量に情報がでてきます。

海外にはプラスチックごみや海洋ごみ問題に特化した組織グループがとても数多く、また活発で、役に立つ有益な情報をブログやメディアを通して発信し続けています。

しかし日本語で「プラスチックフリー、脱プラスチック」と検索しても,『読むだけで大変に勉強になった、よくわかった』というプラスチックごみの問題やその解決方法に特化したウェブサイトにはなかなか出会えませんでした。

それがこのサイトを作るきっかけになりました。

プラスチックの問題は日本だけの問題ではなく、国境を越えたグローバルな問題です。いま目の前にある,本当に解決しないとまずい問題です。

最近になって「プラスチックフリー」や「ノープラ」、「脱プラスチック」といった言葉が使われるようになり、プラスチックへの依存度を下げていくことは日本を含め世界中のトレンドになっています。

このウェブサイト「プラなし生活」を通して、少しでも多くの方がプラスチックがもたらす環境問題・健康問題に関心を持ち、アクションを起こしていっていただければと願っています。

初出記載:2018年7月1日
プラなし生活 (https://lessplasticlife.com)

以下の書籍で「プラなし生活」が紹介されています▼

運営者プロフィール

「プラなし生活」は、研究者と主婦の2人のコンビがつくっています。

Ryota Nakajima (Wakamori)

生物海洋学者。2009年に博士号を取得。米国スクリップス海洋研究所の研究員を経て、現在、国内の海洋研究所・研究員。海洋プラスチック問題、とくに海底に沈んだごみについて研究を進めています。著書に『海洋プラスチック汚染「プラなし」博士、ごみを語る』(岩波書店)があります。

Yoko Koga

プラなし生活実践中の主婦。2005年にパナソニック(株)に入社し10年に渡り技術職勤務。海洋プラスチック汚染の深刻な実態を知り、Wakamoriと共にプラスチックフリーなアイテムやヒントを探し回っています。

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