劣化して小さくなります
いったん海に入り込んだプラスチックごみは,物理的な摩耗(波にもまれ,他のプラスチックごみや岩砂との衝突による摩耗など),紫外線,温度の変化,塩分,酸化に曝されます(Jahnke et al. 2017).
こうしてプラスチックは劣化して,徐々に小さく微細化していきます.このように微細化した小さなプラスチック片を2次マイクロプラスチックと呼びます(Jahnke et al. 2017).
汚染物質を吸脱着します
プラスチックは,微細化する過程で,製造されたときに使われた化学添加剤を放出します.
一方で,周辺の水から有害な残留化学物質を吸収吸着し,やがて動物に食べられ,生態系の食物網へと取り込まれていきます.
これらの現象はどれか1つだけが起こるわけではなく,むしろ相互に複雑に関係しあっているでしょう(Jahnke et al. 2017).
沈降します
マイクロプラスチックは海流によって流され,最終的には沈降します.
また海に入ったプラスチックごみには,植物プランクトンやバクテリア,真菌などの微生物やフジツボなどによる生物付着が起こります(Jahnke et al. 2017).
フジツボがプラスチックの表面に付着するとプラスチックは重くなり,それによって沈降してしまう場合もあります.
またプラスチック粒子が動物プランクトンに食べられることにより,プラスチックは糞粒に取り込まれ,やはり沈みやすくなります.
様々な生物に誤食されます
さらに生物がプラスチック粒子の表面に付着すると,動物によるプラスチック粒子の誤食を招き(プラスチックが生物で”包まれている”と餌だと勘違いするらしい),やがて食物網に取り込まれます.
こうしてプラスチックに由来する(ときに有害な)化学物質は生物の体内に蓄積していきます.
プラスチックは消えません
水深の深い場所や海底に埋もれてしまえば,プラスチックごみは紫外線に曝されることはほとんどないため,また物理的な摩擦も少なくなって,プラスチックが劣化するスピードは極めてゆっくりになります.
そのような場合,プラスチックのゴミは何百年〜千年変わらずにそのまま環境中に残存する可能性があります.
これらのプロセスは非常に複雑で,まだまだ調査研究が必要です.