プラスチックはもう提供しません!米国の水族館

モントレー水族館

アメリカの水族館がプラスチックの撲滅に乗り出しました(IN OUR HANDS).

水族館でゲストに提供しているほとんどのプラスチック製品,たとえばプラスチックのレジ袋,ストロー,プラスチック製の飲料ボトルやコップを段階的に廃止していくと宣言.

キャッチコピーは「海のプラスチックが魚よりも多くなったらどうすんのよ?」 (WHAT IF THE OCEAN HAD MORE PLASTIC THAN FISH?)

海のプラスチックが魚よりも多くなる?

毎年800万トンのプラスチックごみが世界中の海に捨てられていますが(Jambeck et al. 2015),プラスチックの製造と消費が今のペースで続くと2050年には海に捨てられるプラスチックの重さが魚の重さよりも多くなると考えられています(World Economic Forum 2016).

2050年までに累計330億トンのプラスチックが製造される見込みですから,そのうちの3%が海に漏れ出すとすると10億トンになります.

海の魚の全生物量はおよそ8億トンと考えられているため,2050年には魚よりもプラスチックのほうが多くなるわけです.

このプラスチック撲滅を宣言した水族館の数は全部で19施設.

全米屈指のモントレー水族館や,バルチモア国立水族館,サンフランシスコのスタインハート水族館,ロサンゼルス最大のアクアリウム・オブ・ザ・パシフィックなどが含まれています.

一番下に水族館のリストを載せました.

ギフトショップ・カフェで使うプラスチックも減量

年間に2000万人が訪れるこれら19の水族館では,プラスチック撲滅運動によってゲストにプラスチックの消費について関心を高めてもらうのが狙いです.

ゲストがプラスチック製品の代替品を見つけるための展示も行い,消費者が普段の生活においてもプラスチック製品を使わなくなるように促し,製造から配達,商品の販売にいたるまで社会にまん延しているプラスチックの『消費ぐせ』をなくしたい考えです.

海に捨てられたプラスチックによって多くの野生動物が死に至っています.普段私たちが食べている塩にまでプラスチック片が混入しています(Karami et al. 2017).

プラスチック撲滅を宣言した19の水族館は,すでにプラスチック製のレジ袋の配布を中止しており,プラスチックのストローも徐々になくす計画です.

さらに2020年までにプラスチック製のボトルをなくし,ギフトショップやカフェで提供する商品に使われるプラスチックの量も減らすようにしていくとのことで,すでに水族館に商品を卸している会社とも同意をとっているようです(The Mercury News July 10 2017).

プラスチック撲滅に乗り出した19の水族館リスト

Aquarium of the Pacific in Long Beach(カリフォルニア),
Steinhart Aquarium in San Francisco(カリフォルニア),
Monterey Bay Aquarium(カリフォルニア),
Mystic Aquarium(コネチカット),
The Florida Aquarium in Tampa(フロリダ),
Shedd Aquarium in Chicago(イリノイ),
Newport Aquarium(ケンタッキー),
Audubon Nature Institute/Aquarium of the Americas in New Orleans(ルイジアナ)
National Aquarium in Baltimore(メリーランド),
New England Aquarium in Boston(マサチューセッツ),
Omaha’s Henry Doorly Zoo and Aquarium(ネブラスカ),
Wildlife Conservation Society/New York Aquarium in New York City(ニューヨーク),
North Carolina Aquariums(ノースカロライナ)
South Carolina Aquarium in Charleston(サウスカロライナ),
Tennessee Aquarium in Chattanooga(テネシー),
Texas State Aquarium in Corpus Christi(テキサス),
Virginia Aquarium in Virginia Beach(ヴァージニア),
Point Defiance Zoo and Aquarium in Tacoma(ワシントン),
Seattle Aquarium(ワシントン)