今年4月、科学ジャーナルであるScientific Reportsに、クラゲがプラスチックごみを食べていることを示す論文が初めて掲載されました(Macali et al. 2018)。
研究チームが世界中の海を3年間に渡って調査していたところ、2016年に地中海でプラごみを食べているオキクラゲを発見。 そのプラごみは帯状で、タバコの箱の包装に使われていたもの。
有名ブランドである”Philip Morris International(フィリップ・モリス・インターナショナル)” の文字がはっきりと確認できます。
研究チームは、クラゲが本当にプラごみを食べてしまうのか実験を行いました。
プラスチックをエサの下に紛れ込ませてみたり、オキクラゲの体の間を縫うように漂わせたりと、クラゲをプラスチックに晒すことでその反応を確認したのです。
その結果、20匹のうち実に4匹がプラスチックを食べており、さらに驚くべきことは、単にエサと間違って誤食したのではなく、「エサとしてすき好んで」食べていたのです。
この論文著者のArmand Macali氏は、オキクラゲがプラスチックを食べた理由を次のように推測しています。 「海中のプラスチックは、その劣化とともに微生物によるバイオフィルムで覆われます。クラゲはこのバイオフィルム、またはプラスチックの劣化の過程で放出される微粒子を好んでいるのかもしれない。」
生物がプラスチックを大量に摂取すると、常に満腹状態で本来のエサを食べることができず、飢餓状態になって最終的に死んでしまいます。また、消化器官が詰まったり、傷ついたりして死んでしまう例もあとを絶ちません。
このような背景から、同氏は「クラゲが何に惹きつけられているのか、その物質を特定することで、海洋生物がエサと間違うことのないプラスチックを開発できるだろう。」と述べています (National Geographic Sep 2018)。