多くの海鳥は餌の魚を獲るために海に潜ります。
そのときに海ごみに絡まってしまいます。
海鳥がよく絡まる海ごみは、釣り糸と缶用の6パックリング(six-pack rings)です。
どちらもしばし色が透明で、海の中では目立たないため、これに絡まってしまいます。仮に半透明で見えたとしてもクラゲや何かの餌に見間違うかもしれません(Allsopp et al。 2007)。
4分の1の海鳥種が絡まりを経験
これまでに全ての海鳥種のうち25%(406種のうち103種)が海洋ごみによる絡まっています(Kühn et al。 2015)。
海ごみに絡まる海鳥としてよく知られているのが、カツオドリの仲間、アホウドリを含むミズナギドリの仲間、アビの仲間、カイツブリの仲間、そして一部のカモメやペンギンなどです(Kühn et al。 2015)。
カツオドリの大きなコロニーがあるドイツのヘルゴラント島で行われた調査によれば、10年間の間に記録されたカツオドリの死体のおよそ3割が海ごみに絡まっていたと言います(Schrey & Vauk 1987)。
オランダで行われた調査では、死んだカツオドリのおよそ6%の個体が漁具やロープ、ナイロン糸などの海ごみに絡まって死亡していました(Camphuysen 2001)。
海に捨てられるプラスチックごみが増えるにつれ、海ごみに絡まるカツオドリの数も年々増え続けています(Hammer et al。 2012)。
巣作りの材料に海ごみを使って、そのまま絡まる
巣作りをする材料に海ごみを利用して、そのまま絡まる海鳥もいます。
カツオドリ科の海鳥や他の多くの海鳥は、海藻などの天然物質を使って巣作りをしますが、プラスチック製のロープや漁網などの海ごみも材料としてよく利用されています(Lavers et al。 2013、 Votier et al。 2011、 Verlis et al。 2014、 Bond et al。 2012)。
カツオドリやシロカツオドリなどのオスは、求婚の時期になると、海でカラフルなごみを拾ってきては、自分で作る巣にせっせと取り入れています。目立たせてメスを呼び込むためなのかもしれません(Bond et al。 2012)。
北西大西洋やオーストラリアでは、ほとんどすべてのカツオドリの巣から海洋ごみが見つかっており、そのほとんどが漁業に由来するプラスチックごみです(Montevecchi 1991,Verlis et al。2014, Bond et al。2012)。
巣作りに釣り糸などの海洋ごみを使ってしまったために、親鳥とヒナ鳥が絡まるリスクが増大します(Laist 1997、 Kühn et al。2015)。
そして自ら作った巣に絡まり、死んでいることが報告されています(Laist 1997、 Parker & Blomme 2007、 Votier et al。2011)。