サンゴがプラスチックを食べる理由は見た目ではなく味?

サンゴ

なぜ海洋動物が海中を浮遊するマイクロプラスチックを誤って食べてしまうのか。

研究者の間ではいくつか意見がありますが、1つはプラスチックが餌のように見えてしまうからです。

マイクロプラスチックとは、直径5ミリ未満のプラスチックの小さな破片です。

40年以上前から海洋に蓄積し始め、現在では海洋環境の至る所で確認されています。

最近、デューク大学の研究チームはプラスチックを摂食するサンゴについて新たな研究結果を発表しました(Allen et al. 2017)。

サンゴには目がありません。したがって、サンゴは餌や餌に似たものを目で確認して捕食することは考えられません。

ですから、サンゴがプラスチックを食べるのは、単にプラスチックを美味しいと感じているからだというのです。

ポリプを開くサンゴ

デューク大学の研究チームは、ノースカロライナの沿岸域から採集したサンゴ(Astrangia poculata)を用いて、2つの実験を行いました。

最初の実験では、7種類のプラスチックをサンゴが食べられる一口サイズにしたものを少量与え、食べるかどうかを観察しました。

比較のために、同じサイズの砂も与えてみました。 実験に使った7種類のプラスチックとは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)で、普段私たちが使っている代表的なプラスチックです。

その結果、サンゴは、与えられた全ての種類のプラスチックを食べてしまいました。

それにも関わらず、サンゴは砂にほとんど興味を示さなかったのです(Allen et al. 2017)。

プラスチックの原料となるレジンペレット

次に研究チームは、餌に使うプラスチックを実際の海の環境に近づけて実験を行いました。

サンゴが食べられるサイズに砕いたプラスチックを、海水に1週間つけ込んでエイジングさせ、表面にバクテリアを生やしたより海中の状態に近いマイクロプラスチックを用意しました。

研究チームは、サンゴを2つのグループに分け、1つのグループにはバクテリアを表面に生やしたプラスチックを、もう1つのグループにはバクテリアが生えていないまっさらなプラスチックを与えました。

その結果、サンゴは両タイプのプラスチックを食べることが確認されました。

しかしサンゴは3対1の割合で、バクテリアが生えてない(より自然じゃない)プラスチックを好んで食べていたのです(Allen et al. 2017)。

これはプラスチック自体に、サンゴにとって何か美味しいと感じさせる物質が含まれている可能性を示唆しています。

工場から出荷されるプラスチック製品に使用される化学物質(添加剤)は何百種類にも及びます。これらの化学物質のいずれか、もしくはそれらが組み合わさったものが、サンゴにとって魅力的な匂いを発するのかも知れません(Allen et al. 2017)。

プラスチックの添加剤に使われる膨大な種類の化学物質のうち、生物にもたらす影響は一部しか解明されていません。

たとえば、ポリ塩化ビニルをはじめ多くのプラスチックの可塑剤として使われているフタル酸エステル類は、生殖機構に悪影響を及ぼす環境ホルモンとして作用します。

さらに研究チームの実験から、サンゴが摂食したプラスチックの約8%が、24時間経過後もまだ腸内に留まっていることがわかりました(Allen et al. 2017)。

プラスチックは消化されないため、消化管閉塞の要因にもつながります。

このためプラスチックを多く摂食した動物は栄養失調になります。 サンゴに、プラスチックを美味しいと感じさせる添加剤を特定する必要があるでしょう。

さらに他の海洋生物に同じ添加剤を与えても、同じ反応を示すかどうか明らかにする必要があります。 マイクロプラスチックを摂食するのは味がポイントであることがわかりました。

そうなら意図的に味が悪いと感じさせるようにプラスチックを製造することもできるかもしれない、と研究者は考えています(PHYS.ORG Oct 24 2017)。