細菌によって分泌されたノリのような物質によって、プラスチックの小さな粒子はくっ付き合い、より大きな塊になることがわかりました(Summers et al. 2018)。
海水中で行われた実験によると、マイクロ及びナノプラスチックは、バクテリアが作るバイオポリマーと結合し、数分で大きな塊を形成。
さらに大きな塊になると、大型生物が餌と間違って食べるのではないかと、科学者たちは危惧しています。
また、このことが海の表層から海底への食物の流れを変え、深海の生き物が飢えてしまうことも懸念されています。
どんな調査?
ヘリオットワット大学(英)は、フェロー・シェットランド海峡とフォース湾から採取した海水で実験を行いました。
プラスチックに海水を加えた後、海面を模擬した条件のもと培養。
ほんの数分で、微小なプラスチック片がバクテリアや藻類、他の有機粒子と一つになりました。
このプラスチックの凝集体は、大量のバイオポリマーで形成されていました。
研究メンバーのSummers氏は、「今回の発見は、ナノプラスチックがどのように天然のバイオポリマーと相互作用し合っているのかを理解する最初のステップ。我々は、バイオポリマーがナノプラスチック粒子を包んだり飲み込んだして、プラスチックを凝集させることを発見した。」と述べています。
プラスチックの凝集体は深海にも影響?
細菌細胞よりも1/100~1/200も小さいナノプラスチックですが、凝集体になることで肉眼で確認できるようになります。
目に見えるほど大きくなるということは、海の小さな生物の食糧源になってしまうのではないかと懸念されています。
微生物生態学者で同研究チームのGutierrez氏は、深海への影響と地球化学的なサイクルへの影響を問題視しています。
というのも、凝集体はマリンスノーと似たようなものになります。マリンスノーとは、海の表層から海底に炭素と栄養分を運び、深海の生態系に栄養を届ける有機性のシャワーのようなもの。
重いプラスチックの凝集体はマリンスノーとしてより速く海底に到達しますが、軽い凝集体は浮力があるためゆっくり降りていきます。
こうしたことが原因で、深海の生物は食料に飢えてしまうかもしれません。
このことを解明するためには、目に見えないプラスチックが海にどれだけ多くあるのかさらなる調査が必要です(British Telecommunications Feb 2019)。