EU マイクロプラスチックの使用を大規模に禁止

化粧品のマイクロビーズ

欧州では、20年以内に40万トンのプラスチック廃棄物を削減する試みとして、マイクロプラスチックを広範囲にわたって使用禁止にする法案が提案されています。

どんな法案?

欧州では毎年環境中に出ているマイクロプラスチックの量は、なんとグレートゴミパッチの6倍。これは100億本分のペットボトルに相当します。

欧州化学機関(European Chemical Agency : ECHA)は、マイクロプラスチックを段階的に廃止することを提案。これによって、2020年以降は年間36,000トンの「意図的に添加された」マイクロプラスチック繊維と粒子が削減される見込みです。

対象となるのは、化粧品、洗剤、塗料、ツヤ出し剤やコーティング剤のほか、建築、農業、化石燃料分野の製品。

利便性や利益だけのために使われているマイクロプラスチックが廃止されます。

この法案は、企業が最小限のコストで製造プロセスや部品を変更できるよう、6年間にわたって段階的に導入されます。

英を含めたEU全土でプラスチック削減が必要

英では、化粧品やパーソナルケア製品に使われるプラスチック製のマイクロビーズの使用制限を課しましたが、その品目はシェービングフォーム、歯磨き粉、シャワージェルなどに限定しています。

これに比べて今回のECHAの提案は、対象となる製品や廃止される量などはるかに大規模。

メイク用品や保湿剤などの洗い流さない化粧品や、英では対象外となる洗剤、そのほかの家庭用品に使われているカプセル化した香料なども含んでいます。

さらに、化学肥料にもマイクロプラスチックが使われています。こういった人間の食物に入る可能性のあるのような製品も、段階的に廃止される予定です。

「たとえ英がEUを離脱しても、プラスチック汚染は国境など関係ない。ヨーロッパ全土で厳しく規制していく必要がある」と専門家は述べています。

EUの徹底的な使い捨てプラ禁止策

EUでは、使い捨て商品への課税や使用禁止はさることながら、3億5000万ユーロ(438億円)をかけてリサイクルの推進と投資を行い、社会機能を近代化させようとしています。

昨年10月には、使い捨てプラスチックのカトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン)やお皿、ストロー、発泡スチロールの食器・飲料容器などを廃止する法案が可決。2021年までに施行される予定です。

リサイクルについては、2029年までにペットボトルの回収率90%、ペットボトルへのリサイクルプラスチック使用量を25~30%にすることを目標にしています。

今回提案された法案は、ECHAの科学委員会で15ヶ月間の検討が行われたのち欧州委員会に提出されます。その後3ヶ月かけて法律制定の準備が行われ、発効に至ります(The Guardian Jan 2019)。