ペットボトルごみを削減する「デポジット制度」とは?

ペットボトルをリサイクルボックスにいれる

ペットボトル消費、1分間に100万本

世界中で毎分100万本ものペットボトルが購入され、製造量は2016年には4,800億本に達しました。

2021年にはペットボトルの製造量は5833億本になると予想されています(the Gurdian Jun 28 2017)。

5833億本のペットボトルを全部つなげると、あとちょっとで地球から太陽までとどくくらいです(*)。 *ペットボトル20cm×5833億=1億2千万km、地球から太陽まで1億5千万km。

現状、この膨大な数のペットボトルの半分以下が回収され、そのうちたった7 パーセントしか新しいボトルに生まれ変わっていません(Green Peace 2017)。

つまり、ほとんどのペットボトルはごみ投棄場に捨てられ、一部は海へたどり着きます。

年間に800万トン以上のプラスチックごみが海洋に流れ込んでおり、その8割以上は陸由来のごみです(Jambeck et al. 2015)。イギリスのシンクタンクの調査では、海洋のプラスチックごみの33%は飲料用のペットボトルに起因すると言われています(Green Alliance)。

見方を変えれば、ペットボトルに起因するごみをなくせば、海洋プラスチックごみの1/3を抹消できることになります。

劇的に回収率を高めるデポジット制度

ペットボトルがごみとして捨てられることなく、リサイクル用に回収されるのを飛躍的に高める効果的な方法の1つが、「デポジット制度」を導入することです。

デポジット制度とは、ペットボトルを購入する時に少額の預り金を支払い、空のボトルを返却すると預かり金が戻ってくる仕組みです。

たとえば、デポジット制度を2003年から実施しているドイツでは、90パーセント以上(最高98.5%)のペットボトルが返却されています(Bottle Bill Resource Guide)。

ドイツでは、ペットボトル1本につき25セント(約33円)の預かり金が課金されます。たいていのスーパーに返却機が置いてあり、返却機にボトルを入れると、レシートがでてきて、そのレシートをレジに持っていけば返金が受け取れる仕組みです(Bottle Bill Resource Guide)。

買い物があるときは、レジでそのレシートをみせれば、買い物金額からデポジット金を差し引いて精算してくれます。

このシステムのお陰で、ドイツではまったくペットボトルがポイ捨てさていません。仮にポイ捨てされても誰かがすぐに拾って持って行ってしまいます。

ペットボトルのデポジット回収装置

ペットボトルの回収装置。穴にペットボトルをいれると返金のレシートが受け取れる。

デポジット制が導入されている国々

いまのところ、世界23カ国地域でボトルのデポジット制が導入されており、そこには、オーストラリアの1部、アメリカの1部、オーストリア、ベルギー、バルバドス、カナダの一部、クロアチア、デンマーク、エストニア、フィンランド、アイスランド、イスラエル、キリバチ、リトアニア、ミクロネシア、オランダ、ノルウェー、パラオ、スウェーデン、スイス、タークスカイコスなどが含まれます(Bottle Bill Resource Guide)。

カリフォルニアでは、24オンス(約700 ml)までのボトルは5セント、それ以上の容量で10セントの預かり金を消費者が払い、空のボトルをリサイクルセンターに持っていくと返金されます。

1度に持ちこめるボトルの数は50本までなので1回で最高5ドル程度受け取れます(CA.GOV CalRecycle)。

カリフォルニアでは、多くの人が熱心にごみ箱をあさっては大量にペットボトルを持ち帰っているのを目にします。