ポリエチレンテレフタレートとは?
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)は、テレフタル酸(あるいはテレフタル酸ジメチル)とエチレングリコールを重縮合して作られる合成樹脂です。透明で、薬品や熱に強く、液体とガスに対するバリア性に優れ、さらに強度が高いのが特徴です。
PETは、もともと繊維やフィルムの材料として使われていましたが、透明で、液体とガスに対する高いバリア性があるため、ペットボトルとして、食品や飲料、特に清涼飲料のボトル容器に大量に使用されています。日本での年間生産量は42万トンです(2017年)(塩ビ工業・環境協会)。
PETを繊維にしたものはポリエステルと呼ばれます。フリースなどの衣料やファブリック、ぬいぐるみの詰め物やフトンの断熱材、カーペットなどに広く利用されています。
ペットボトルはリサイクルされると、フリースなどのポリエステル繊維にダウンサイクリングされます。「ダウンサイクリング」とは、リサイクルされた材料が元のPETよりも低品質であることを意味します。
ポリエチレンテレフタレートの安全性?
PETは安全なプラスチックと考えられていますが、微量ながらも避けるべき化学物質が浸出してくるという報告もあります。たとえば、PETを製造する際に触媒として用いられるアンチモンが、ペットボトルから微量に浸出することが知られています(Greifenstein et al. 2013, Westerhoff et al. 2008)。アンチモンはヒトに対して発癌(はつがん)性があります(Sundar & Chakravarty 2010)。
アンチモンは、液体がペットボトル容器に入っている時間が長いほど、そして温度が高いほど、ボトル内の液体へ浸出します(Greifenstein et al. 2013)。ただし、微量に浸出するアンチモンの長期的な摂取が、人間の健康に影響を及ぼすかどうかはよく分かっていません。
フリースなどのポリエステル繊維の衣服も、製造工程で使用される難燃剤を含んでいる可能性が高いです。本来フリースは非常に燃えやすいため。しかし、どういった種類の難燃剤がポリエステルに添加されているか、消費者が簡単に知るすべはありません。