プラスチックの歴史

赤・青・緑色のレジ袋

プラスチックは,私たちの周りにあふれ,生活のあらゆる所に浸透しています.

そんなプラスチックの歴史は浅く,プラスチックの利用が普及したのは第二次世界大戦の後です.

合成高分子をベースとしたプラスチックの生産が本格化したのは1950年頃.

プラスチックは,発明されてからまだ100年くらいしかたっていません.

プラスチックは誰が発明した?

本格的にプラスチックの製造が始まったのは第2次世界大戦後ですから,プラスチック産業の時代がはじまってからまだ50年ほどしかたっていないことになります.

 では,プラスチックはどのように人類によって発明されてきたのでしょうか.プラスチックの歴史を垣間見てみましょう.

19世紀に,ポリスチレンやポリ塩化ビニルが発明され,それがプラスチックの時代の始まりと言われています(Ebewele 2000).

ですがその当時,これらのプラスチックは堅さとかけやすさのために製品に使われることはありませんでした.

最初に工業化されたプラスチックとして,1870年に,セルロースを原料とするニトロセルロース(セルロイド)が作られました.半合成樹脂といいます.

ただし発火性があるのが問題でした.

完全なる合成樹脂プラスチックの完成

20世紀にはいってすぐ,ベルギー生まれでニューヨークを拠点にして活動していたレオ・ベークランド(Leo Baekeland)の発明によって時代は一変します.

1907年,彼は,石炭からとりだした炭化水素物質からはじめて合成高分子をベースとしたプラスチックを作りました.

発明者の名前をとってベークライトと名付けられました.

ベークライトは,電話の受話器やラジオ,テレビの外側を覆うケース,エンジンのパーツ,キッチン用品からオモチャにまで幅広く使用されるようになりました(Groot 2009).

その後,様々な種類のプラスチックが生み出されていきます.

次々に生まれるプラスチック

1926年には現代的なポリ塩化ビニル(PVC)となる可塑化ポリ塩化ビニルが作られ,1933年にはポリ塩化ビニリデン(PVDC),そしてサランが作られました(Morris 1986).

ポリウレタン(PUR)という軟質フォームは1937年に発明されました.

1938年にはポリスチレン(PS)が商業的に実用化されて,ピーナッツのパッケージに使われました.同年には,フライパンの表面をコーティングするテフロンでおなじみのポリテトラルフオロエチレン(PTFE)が発明されました.

1939年にナイロンとネオプレーンが発明されました(Hammer et al. 2012).

ポリエステルとしても知られているポリエチレンテレフタレート(PET)は1941年に発明されました.PETは主に飲料用のペットボトルに使われています.

続けて,1951年に高密度ポリエチレン(HDPE),ポリプロピレン(PP)が発明されて,1954年には発泡スチレン(いわゆる発泡スチロール)が発明されました.

大量生産は戦後から

第二次世界大戦中に銅やアルミ,鉄が軍事利用で貴重なものになったため,プラスチックの需要が世界的に増加しました.

結果としてプラスチックの製造メーカー,機械メーカー,鋳型メーカーが栄えていきます(Beall 2009).

第二次世界大戦の終結後,プラスチックは,安くて使い捨てできる便利さがうけて,市場に急速に拡大していきます.

そして家庭内で利用される日用品の多くはプラスチック製品が代用するようになりました.

それゆえ,第二次世界大戦を境に,プラスチック産業の時代が始まったと言われています(Morris 1986, Beall 2009).