地球上で最も深い場所にある、太平洋西部のマリアナ海溝。そこで、これまでで最高レベルのマイクロプラスチックが検出されました(Peng et al. 2018)。これまでにレジ袋などの大型のプラスチックごみがマリアナ海溝で見つかっていますが、マイクロプラスチックの報告はこれが初めてになります。
調査したのは中国(海南)の研究グループ。チャレンジャー海淵近くのマリアナ海溝を調べていたところ、他の太平洋、大西洋、北極海のどの場所よりも高いレベルのマイクロプラスチックを発見。
それは、これまでの外洋調査の中で最も高い濃度であることがわかりました。 研究グループは、水深2,500〜11,000mの水と堆積物を収集(ちなみにエベレストは海抜8,850m)。
サンプルを採取する装置が海溝の深部へ向かうにつれ、マイクロプラスチック濃度が増加していきました。 最終的に、底部では堆積物1リットルあたり最大2,200個、水1リットルあたり13個に達したということです(Peng et al. 2018)。
研究者らは、これらのマイクロプラスチックは中国と日本を含む東アジアの先進国から来ている可能性が高いと述べています。
海溝には幅の狭いV字型をした部分があり、マイクロプラスチックのような粒子がその部分に溜まりやすくなっています。海溝では地震がよく発生しており、地震によってV字に溜まった粒子が海溝の底に落ちていくのだろうと、研究者たちは考えています。
見つかったマイクロプラスチックのほとんどは、長さ数ミリの繊維状のもの。衣類やペットボトル、包装材、漁具に使われていたものと考えられます。
堆積物のサンプル中で最も多かったのはポリエステル。水のサンプルでは、ペットボトルや衣類に使われるポリエチレンテレフタレート(PET)が最も多く検出されました。
研究者らは、「プラスチックは、地球上で最も遠く離れた最深部をも汚染している。ヘイダルゾーン(超深海帯)は、マイクロプラスチックの最大の掃きだめの一つかもしれない。深海の壊れやすい生態系に対してどんな影響があるか未知数だが、潜在的に害をもたらすだろう」と述べています(The Guardian Dec 2018)。