プラごみは陸からどのようにして海に入り込んでしまうのでしょうか?
使い捨てられ,捨てられたプラスチックがどれだけ海に流入してしまったのか,実のところ正確な数字は分かっていません.
海洋プラスチックごみのほとんどは,人口が多い場所や廃棄物の管理がきちんできていない場所から海に漏れ出しています.
ほとんどアジアから漏れ出す
実際のところ,ほとんどはアジア大陸から漏れ出しています(Jambeck et al. 2015).
海岸に接している国々のうち,海岸線から内陸に向かって50km圏内のエリアから排出される不始末プラスチックごみ(適切に管理されてないプラスチックごみ)が2010年の1年間にどれだけあったのを調べた研究では,プラスチックごみ排出の国別ワーストランキング20位が発表されています(Jambeck et al. 2015).
そのワースト20カ国のうち,12カ国がアジアの国で,中国が抜きんで出てトップでした.
次いでアフリカ大陸から5カ国そして,トルコ,ブラジル,そしてアメリカ合衆国もワースト20位に含まれています.
河川から流れ込む大量のプラスチック
陸から海に流入するプラスチックのうち,大部分は沿岸域が発生源になっていますが,内陸からも川を流れて海にやってきます(Eunomia 2016).
そしてやはり,川から流入するプラスチックごみの量はアジアが抜きんでています.
ある報告によれば,1年間に41万から400万トンものプラスチックごみが川から海に流れています(Schmidt et al. 2017).
そのうちの88%〜95%がアジアの8つの川(揚子江,黄河,海河,珠江,アムール川,メコン川,インダス川,ガンジス川)とアフリカの2つの川(ニジェール川,ナイル川)を流れて来ていると推定されています(Schmidt et al. 2017).
また別の報告は,毎年127万トンから266万トンのプラスチックごみが川から海に流れこんでいると推定していますが,そのうちの67%が最も汚染された上位20の河川から流入しており,うち15の河川がアジアにあるのです(Lebreton et al. 2017).
国境を越えたグローバルな問題
いくら先進国がゴミの流出を防いだとしても,アジア諸国からとどめなく流れ出る大量の廃プラスチックをなんとかしなければ,事態は変わることはないでしょう.
海に流れ出たプラスチックごみはマイクロプラスチックとなって,別の国や海域に流れ込みます.
しかし先進国はこれまでにゴミの大量排出国にリサイクルという名目で大量のプラごみを中国と東南アジア諸国に輸出してきました.それらも処理しきれずに海にあふれ出ているわけです.
灯台もと暗し.まさに国境を越えたグローバルな問題です.