オススメ本「海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士、ごみを語る」

海洋プラスチック汚染_岩波科学ライブラリー

岩波書店から「海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士、ごみを語る」が発売(2019年9月19日)。本サイトの「海のプラスチック」のブログが書籍になりました♫

海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士、ごみを語る

G20大阪ブルー・オーシャン・ビジョンでは、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすると目標が掲げられました。

海のプラスチック問題は国連や首脳会議で大きく取り上げられ、国際的に超緊急を要する課題となっています。

本書は、海洋プラスチック汚染についてこれまでに分かってきたことを網羅的にとりまとめたものです。一冊読めば、今世界が注目している海洋プラスチックの問題を一通り理解できるようにしました。

海に流れ込むプラスチックは増加の一途をたどっており、このままでは2050年にプラスチックが魚の量を超えるという予測や、2060年頃には日本近海の漂流マイクロプラスチックの濃度が生物に害を及ぼすレベルに達する可能性も指摘されています。

国連環境計画は海洋を汚染する最大の元凶である「海洋プラスチック」に戦争をしかけると宣言。これを受け、各国の政府や企業はこの問題がどれだけ大きく、どこまで被害が広がっていて、何が一番いい防止策・軽減策なのかを模索しています。

そして研究者たちは海洋プラスチックの発生源、行方や汚染の影響といった科学的な問いに答えようと近年猛烈に研究を進めているところです。

プラスチックの何が問題なのか

プラスチックは便利です。プラスチックは私たちの生活と社会・経済をさまざまな側面から支えてきました。

しかし私たち人類がプラスチックから受けてきた恩恵は計り知れない一方で、プラスチックの大量生産と大量廃棄が海の生態系を脅かし、目に余る環境問題を生み出しているのも事実です。

プラスチックが海の隅々に拡散して蓄積していくと何が問題なのか?、本書では「ディープ・インパクト――海洋生態系と人への影響」という章で詳しく解説していきます。

さらに本書では、

・何故プラスチックのリサイクルは進まないのか?
・プラスチックはどうして海に流れ込むのか?
・どこからたくさんでているのか?
・流れた後はどうなるのか?
・どうやったらこの問題を解決できるのか?

など、様々な角度からこの問題に迫っていきます。

さらに読者のみなさんが後から調べられるように、本書には参考文献をふんだんにいれました。参考文献数がほぼ150!(もう科学総説なみです)。

ぜひ、手に取って頂けたら幸いです。

本書の目次と中身を少し紹介♪

▽岩波書店さんのウェブサイトから本書の第一章が無料で立ち読みできます!

岩波科学ライブラリー
海洋プラスチック汚染「プラなし」博士,ごみを語る

1章 どこもかしこもプラスチック!

深海、南極、北極等、地球上のどんなに遠く離れた場所にもプラスチックは存在し、プラスチックが見つからない海はもうないと言われています。

プラスチックは安価で、軽量で、丈夫で、思い通りに型を変えることができます。しかしこの素晴らしい性質が海に入ると仇となります。海に流れ込んだプラスチックは数百年間消えないごみとして地球上に蓄積を続けているのです。

プラスチックはなぜここまで広がっているのか、いま世界が注目するプラスチックについて紹介します。

2章 使い捨て文化――大量生産と大量廃棄

戦後はじまったプラスチックの爆発的な生産量の増大。まだプラスチックの大量生産がはじまって70年くらいしかたっていません。世界のプラスチック生産量はすでに4億トン、超大量に作られ、超大量に廃棄されています。

ごみになったプラスチックの半分近くが容器包装等の使い捨てプラスチックです。リサイクルも問題だらけで、世界的にみて91%のプラスチックはリサイクルされていないのが現状。8割は埋め立て処分もしくは海洋を含む自然環境に投棄されています。

プラスチックのリサイクルが難しい理由を説明するとともに、日本ではプラごみの7割を焼却していること、リサイクルの多くを海外に頼っていた事実を伝えていきます。中国がリサイクル用廃プラの輸入を停止したため、いまプラスチックごみが行き場を失っています。

3章 海に漏れ出すプラスチック

毎年、東京スカイツリー250個分の重さのプラスチックが海へ捨てられています。この膨大な量のうち、およそ半分はアジア諸国から排出されています。

海に入ったプラスチックは生物に分解されることはありません。このペースでいくと2050年には海のプラスチックが魚の量を超える予定です。

海のプラスチックはサイズによってマクロプラスチックとマイクロプラスチックに分かれます。大きなプラスチック製品が小さなマイクロプラスチックになる理由を説明するとともに、マイクロプラスチックの起源を解説していきます。

4章 あなたもわたしも海洋プラスチックの排出者

海洋ごみの中でダントツにプラスチックが多いことを示してから、プラスチックごみはどこからやってくるのかを掘り下げていきます。

不適切な廃棄物管理から漏れ出すごみ、タバコから漁具までのポイ捨て、そして道路粉塵など不本意にもでてしまうごみなどです。家庭排水からも大量のマイクロプラスチックが漏れ出しています。これらがどのような経路を経て海へ流入するか、ケース別に解説していきます。

5章 プラスチックは最終的に海のどこにいくの?

プラスチックごみは比重によって浮くか、沈み、異なる運命をたどります。軽いプラスチックは表層を漂い、やがて5つの集積所に集まります。

南半球よりも北半球のほうがたくさんゴミが浮いています。日本は中国等のごみが黒潮によって流れてくる海域にあり、まさにごみのホットスポットなのです。さらに海岸に打ち上がるごみ、海底に沈むごみについて解説します。

6章 行方不明プラスチックの謎

理論上、広い外洋には4500万トンのプラスチックが漂っているはずですが、実際に調べてみるとその1%も浮いていないことがわかりました。残り99%のプラスチックが行方不明なのです。そして深海・海底に沈んでいる可能性が濃厚になってきました。

軽いプラスチックもいずれ沈む運命にあります。それにはマリンスノーとして深層へ運ばれる生物的輸送プロセスと海水の沈み込みによって運ばれる物理的輸送プロセスがあります。

7章 ディープ・インパクト――海洋生態系と人への影響

プラスチックがなぜ問題なのか、特にプラスチックを食べる海洋生物、プラスチックの化学的・物理的毒性の焦点をあてて解説します。

プラスチックの添加剤やプラスチックが吸着する汚染物質を生物が取り込んでしまう事実や、2060年には物理的毒性が現実問題となる可能性についても述べていきます。

その他、プラスチックによる絡まり被害、覆い被さり被害等の生態系への影響だけでなく、人体への影響について紹介します。

8章 海にプラスチックを漏れ出させない方法

プラスチックを海から除去することは不可能であり、これ以上問題を大きくしないために、廃棄物管理の徹底と発生を最小限にすることの重要性を述べます。

特に「使い捨てプラスチック」を可能な限り減らすことの必要性を述べ、その代替案を示します。また昨今注目されるバイオプラスチックについて詳しく解説しています。