ビーチでごみ拾い−どのくらい意味があるのか?

ビーチに散乱するプラスチックごみ

週末明けに,こんなメールが職場のメーリスに流れました.

「今日ビーチでランニングしていたら,いつもよりたくさんのごみが落ちてて,まじでイラツいた!誰か何か見たり聞いたりしてない?状況がもっと悪くなる前になんか対策を立てるべきだと思うね」

メールにはごみの写真が添付されていました.ビーチで散乱する空のペットボトルやプラスチックごみの写真です.

飲料ゴミが1/3を占める

Gurdian Reportによれば,世界中で「1秒間に2万本のペットボトル」が買われています.

その大部分がリサイクルされずに捨てられ,一部は海に流れ込んでいきます.

事実,飲料関係のプラスチックごみが,海洋プラスチックごみの約3割を占めています(Green Alliance).

カリフォルニアのビーチでは,ごみを拾いながら歩く人をよく目にします.

たまに金属探知機で砂の中に金属異物がないかをチェックしているおじさんも見かけます.

ビーチの景観が美しくあって欲しいと願う人が多いのです.

米国海洋大気庁(NOAA)で海洋ごみプログラムの調査コーディネイターを務めるCarlie Herringさんは,毎日5個のごみを拾っているそうです.

大海の一滴?

劣化しているプラごみ

「あんたのごみ袋がいっぱいになったところで,そんなの大海の一滴にすぎない.世界はごみであふれている」

ごみを拾っている人をみて,こう思う人もいるかも知れません.

たしかに,いくらビーチの清掃をしてもごみの発生源をコントロールしなければ,いつまでたってもごみはなくなりません.

むしろ人が回収できるごみの量よりも,もっとたくさんのプラスチックごみが海に入りこんでいます.

しかし,ビーチに散らばったプラスチックごみは高い温度と紫外線に曝され,海中よりもずっと速く劣化します(Bouwmeester et al. 2015, Lambret & Wagner 2016).

ビーチでプラスチックごみを見つけたとき,それを拾わずに放っておいたらそれは高い確率でマイクロプラスチックとなるでしょう.

そうなってから回収するのは非常に困難です.

マイクロプラスチックは,遅かれ速かれ海に入りこみ,有害な化学物質を吸着して食物網に取り込まれ,いつか自分たちに帰ってくる可能性があります.

ビーチでごみを見つけたら,積極的に拾う.

そういう人が多ければ多いほど,海岸から海に入るプラスチックごみは一時的には減ります.

同時に,海洋ごみの大部分を占める石油ベースの使い捨てプラスチックを抹消し,ごみの発生源をきちんと管理することが最優先であることは言うまでもありません.