日用品大手のP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は,同社の液体食器用洗剤の主力製品である「フェアリー」のボトルを,100%リサイクルされたプラスチックを原料にし,そのうち10%は海洋プラスチックごみをリサイクルして使用すると発表しました(P&G).
この発表の狙いは,海洋プラスチックごみの問題意識を高め,プラスチックごみが海に漏れ出すのを防ぐために何が出来るのかという考えを広めることです.
業界初となる海洋プラスチックごみで作った食器洗剤用ボトルは,海洋プラスチックごみ回収のエキスパートであるテラサイクル(TerraCycle)と協力して,2018年からUKの消費者に販売される予定です(P&G).
またP&Gは,原料の一部となる海洋プラスチックごみの回収,選別,リサイクルを軌道に乗せるために今後5年間にかけて1億5千ドル以上(= 114億円以上)を出資すると発表(P&G).
毎年,95%のプラスチック包装・容器がごみとなって捨てられており,その価値は800億ドル〜1兆2000億ドル(= 9兆円〜137兆円)に相当します(The Ellen MacAuthur Foundation 2016).
P&Gは海洋プラスチックを含むフェアリーの他にも,ドーン(Dawn), イェス(Yes),ドレフト(Dreft), ジョイ(Joy)といった液体洗剤のボトルにも埋め立て地から回収したプラスチックごみを原料にすると発表(P&G).
ジョイは日本でもおなじみですね.
埋め立て地から8000トンのプラスチックごみを回収してリサイクルし,世界中で年間に販売される4億8000本のボトルにリサイクルされたプラスチックを平均40%使用するそうです(P&G).
なお,海洋プラスチックを原料にしたフェアリーは,2018年にUKで32万本を販売することになっています.
もちろん,この32万本は世界の海に捨てられるプラスチックごみに比べれば大海の一滴にすぎないかも知れません.
しかし,世界の大企業が海洋プラスチックごみの問題を取り上げるのはとても意義のあることです.