プラスチック.私たちの地球を脅かす今最も危険な存在の1つです.
私たちはみんな,毎日の生活の中でプラスチック製品に囲まれ,大量のプラスチックを消費しています.
プラスチックは安くて丈夫なのが売りです.
しかしプラスチックがごみとなって海に入ったとき,この安くて丈夫というメリットが21世紀における最も深刻な環境問題の1つを引き起こすことになります.
私たちはプラスチック世代です
私たちが「プラスチック」と呼んでいる有機合成ポリマーは20世紀のはじめに発明されました.1907年のことです.
プラスチックの大量生産は,1930年頃から始まりました.
そして1950年以降,プラスチックは私たちの生活になくてはならないほど日常化していきます.
プラスチックは,ガラスや木材のような伝統的な素材にはない,すばらしい性質を多く持っています.
例えばプラスチックは,丈夫で,軽くて,強くて,形も自由に変えられます.
あるものは耐熱性があり,耐薬品製があり,電機を通さず,といった幅広い性質を持ち合わせています.
プラスチックは飲食品の容器,生地,電化製品,医療器具,建築資材など,私たちの生活のありとあらゆるところに浸透しています.
プラスチックは私たちの生活と社会・経済を様々な側面から支えており,もはやプラスチックなしの生活は考えられません.
故に,私たちの世代は『プラスチック世代』を呼ばれます.
しかし海洋にあふれるごみの中で,ダントツに多いのはプラスチックでできた消費者向けの製品です.
実に,海洋ごみのおよそ60-90%(ときに100%!)はプラスチックごみが占めています(UNEP and GRID-Arendal 2016).
最大の原因は容器や包装に使われる使い捨てプラスチック
海洋ごみの大部分を占めるプラスチックごみのうち,最も多いのがコンビニ弁当などの食品の容器,プラスチック袋,ペットボトル,洗剤の容器,発泡スチロールといった『容器や包装』に使われるプラスチックです.
そのほとんどが1度使っただけで捨てられてしまう『使い捨てプラスチック』です.
使い捨てプラスチックはごみになると,プラスチックごみ全体の6割以上を占めています.
つまり使い捨てプラスチックが海洋ごみの最大の発生源となっています(Hopewell et a. 2009).
使い捨てプラスチックごみの中でも,圧倒的に多いのがベットボトルやプラスチック製のコップなど飲料系のプラスチックごみです.
オーストラリアでは海に捨てられるプラスチックごみのうち,飲料関係のごみが33%を占めています(Green Alliance). そのため飲料関係のごみをゼロにするだけでも,海洋プラスチックごみの約3分の1を減らせるとイギリスのシンクタンクは考えています(Green Alliance).
少しずつ進むプラスチック規制
欧米では使い捨てプラスチックの廃止に向けて少しずつ進んでいます.
フランスは2020年1月から使い捨てプラスチックの食器を廃止すると宣言しています(CNN September 2016).
サンフランシスコでは,水の入った600ml以下のプラスチックボトル(ペットボトル)を販売することを禁止しました(MSNBC March 2014).
1度使ったら速攻でごみ箱に捨てられる『使い捨てプラスチック』を可能な限り社会から抹消することが最優先事項であることは言うまでもありません.
▽こちらの書籍では海のプラスチック汚染について、一冊読めばその全貌がわかるように詳しく解説しています。