ドライブが海を危険にさらす⁉️車タイヤからPM2.5のマイクロプラスチックが放出

道路を走行する車

車の移動が環境に悪影響であることは、よく知られています。なぜならば排気ガスは、地球の温度を上げ、空気の呼吸の安全性を低下させるガスで大気を汚染するからです。悲しいことに、問題はそこで終わりません。あなたは想像できますか?毎日の車通勤や楽しいドライブが世界の海を汚していることを。

自動車のタイヤやブレーキシステムが海を汚している!

新しい研究により、自動車のタイヤやブレーキシステムから放出されるマイクロプラスチックが、海洋プラスチック汚染の原因の1つであることが明らかになりました。

毎年、100,000トンのマイクロプラスチックがタイヤから排出され、空中を漂い、海に漏れ出しています。

もし車タイヤの重量平均が約9キログラムである場合、毎年海に到達するマイクロプラスチックの総重量は、1100万本弱のタイヤに相当します。(Evangeliou et al. 2020

一般的に車のタイヤはゴム製で、約50%の天然および合成ポリマーが含まれています。ドライブ中に地面とタイヤが擦れることで生じる摩耗や摩擦によって、タイヤはタイヤ摩耗粒子と呼ばれる小さな断片になります。

車のタイヤには合成ポリマーも含まれるため、これが小さな断片に分解されると、マイクロプラスチックになって、空気中を漂うというわけです。

道路を走行する車

 

車のブレーキシステムも、摩擦が加えられると粒子を生成します。 これらのブレーキ摩耗粒子は、プラスチックを含む材料の混合物でできています。

最終的に、タイヤとブレーキの摩耗粒子が一緒になって、道路マイクロプラスチックと呼ばれる汚染物質に変身するのです。

楽しいドライブ中には想像し難い、深刻な事実ですね。

マイクロプラスチックの定義は、5mm未満という小さなプラスチック。その形状は様々であると同時に、様々な種類の海の生き物が食べることができてしまいます。

海の中では、マイクロプラスチックが動物のえらや消化管に蓄積することがあり、これが呼吸、摂食、成長に影響を与える可能性があることが研究によって示されています。(Carlos de sa et al. 2018)

さらにマイクロプラスチックは、有機化合物や有毒な重金属を吸収し、それらが摂取されて食物連鎖に入る可能性があることが指摘されています (Brennecke et al. 2016)。

プラスチックをなるべく使わない生活はもちろん、日頃自分たちの口に入る食べ物は安全なのか、今一度考え直してみるチャンスかもしれません。

道路マイクロプラスチックが風に乗るワケとは?

道路を走行する車

毎年大量の道路マイクロプラスチックが車によって生み出されているだけでなく、それらは長時間にわたって空気中を漂うことがわかりました。そのため、道路マイクロプラスチックの粒子は発祥した場所から、約1600キロメートルも風に乗ることができるのです(Evangeliou et al. 2020)。

これらの粒子が大気中を移動できる時間を理解するために、研究者たちは道路マイクロプラスチックの大きさに基づいて、空気中に漂う時間を計算しました。

粒子のサイズがPM2.5では平均18〜37日間空中に留まることがわかりました(PM2.5とは、大きさが2.5マイクロメートル以下の粒子(Particulate Matter)のこと)。

結果的に小さい粒子は発生源からかなり遠く離れたところまで運ばれ、世界中に堆積します。一方、大きな粒子(PM10)の滞留時間は10日未満で、結果的に遠くまで移動せず、放出される道路の近くに集積します。

さらに、タイヤやブレーキに含まれていた道路マイクロプラスチックは、北極圏のように道路や車がない離れた場所にも行く可能性があります。

道路を走る複数の車

そして暗い色をしたタイヤとブレーキの粒子は光を吸収し、温暖化と氷の融解の速度を潜在的に高める可能性も。この道路マイクロプラスチックは私たちが考えている以上に、より大きな脅威をもたら可能性があります。

車から放出されるマイクロプラスチック粒子の量は、最近報告された研究よりもさらに多いと言われています。なぜならば、トラクターや建設機械などの非道路車両からのマイクロプラスチックの排出は、研究では考慮されていないからです。

それらは自動車よりは少ないですが、重い負荷を運ぶため、タイヤとブレーキシステムの摩耗が増えると同時に、道路マイクロプラスチックをさらに生み出します。

私たちが自動車を使う生活やビジネスにどれほど依存しているか、そして合成ゴムがタイヤの製造にどれほど有用であるかを考えると、これは排除するのが非常に難しいマイクロプラスチックの問題を浮き彫りにします。

 

参考:PHYS ORG june 2020PHYS ORG july 2020