プラスチックの大量生産と大量消費

大量のプラスチックごみ

モーレツな勢いで増えるプラスチック

毎年どのくらいのプラスチックが作られているか知っていますか?実は、重さにして東京スカイツリー約7,800個分に相当します(*地上本体鉄骨重量41,000トンで計算)。2015年の時点で、1年間に製造されたプラスチックの量は(化学繊維を除いて)3億2200万トンでした(PlasticEurope)。

この数字は、2016年に3億3500万トンに跳ね上がります(statista)。プラスチックを最も生産している国の1つが中国です。中国のプラスチック生産量は世界全体の約1/4に相当します。ちなみに、中国が2015年に生産したプラスチックは7,800万トンでした(statista)。

次いでヨーロッパとアメリカが際立ちます。ヨーロッパ全体では、2016年に約6,000万トンが生産され(statista)、アメリカでは2017年に5,100万トンが生産されました(statista)。日本では、2016年の時点で、1,450万トン生産されました(statista)。

1950年から2015年までの間に生み出されたプラスチックの総量はなんと78億トン!しかも、そのうちの約半分は過去13年間(!)に生産されたものです(Geyer et al. 2017)。

ペットボトル

東京スカイツリー20万個分のプラスチック?

この猛烈に増えるプラスチックの生産量は、プラスチック製品の中間原料となる樹脂ペレット(レジンペレット)の生産量から推定されます。樹脂ペレットを溶かして、型にいれて成型してプラスチック製品を作るわけです。

しかし、純粋なプラスチックのままではほとんど製品にはならず、最終的な段階で、安定剤や可塑剤(かそざい)などの添加剤が大量に加えられます。

この添加剤の重量も加えると、今日までに私たち人類が生み出したプラスチックの総量はおよそ83億トンです(Geyer et al. 2017)。83億トンという数字は大きすぎてイメージがわきません。例えて言えば、東京スカイツリーが20万個、パリのエッフェル塔が82万2千個、NYの摩天楼ビルが2万5千個、シロナガスクジラ8千万頭に相当します(Cohen 2017)。

いま、プラスチックの生産は、年5%増の勢いで爆発的に増えています。このままのペースで増産されると、2050年までに合計で340億トンになる見込みです(Geyer et al. 2017)。 大量のプラごみ

捨てる量もハンパないです!

作る量もすごいですが、消費して、ごみになる量もハンパありません。今日までに生産されたプラスチック83億トンのうち,もうすでに63億トンが廃棄物となっています。そのうち、たったの9%だけがリサイクルされ、12%は焼却され、のこり大部分(79%)は埋め立て処分もしくは海洋などの自然環境に投棄されたと考えられています(Geyer et al. 2017)。

このままの恐ろしいペースでプラスチックの大量生産と消費・廃棄を続けると、2050年までに120億トンのプラスチックごみが埋め立て処分されるか自然環境に投棄されると科学者は警告しています(Geyer et al. 2017)。その量は,東京スカイツリー約3万個に相当します。

プラスチックは腐らず極めて丈夫なため、人類が生み出したプラスチックごみは、焼却でもされない限り、この地球上のどこかに何百年〜何千年も分解されずに蓄積し続けることになります(Barnes et al. 2009)。