太平洋のど真ん中に浮かぶ小さな無人島.そんな島から見える海の風景をどう思い浮かべるでしょうか?
大都市から最も遠く離れた原始の海が残る最後の楽園.そんな海を想像するでしょうか?
世界中の大陸から最も遠く離れ,人間の活動から最も隔離されている太平洋の無人の孤島ヘンダーソン島の浜辺にはプラスチックごみが高密度に集積していることがわかりました.
タスマニア大学の研究チームが発表しました(Lavers & Bond 2017).
楽園の島でみつかる超大量のプラごみ
下はヘンダーソン島で見つかったごみの映像です.
最も近い都市でさえ5000km以上も離れた場所に浮かぶこの無人の島には,推定で3770万個のプラスチックごみが散らばっています.
英国領ピトケルン諸島にあるヘンダーソン島は,5年から10年に一度だけ調査目的のために人が訪れるだけのほとんど人間活動とは無縁の島です.
しかしこの島は,南太平洋環流(South Pacific Gyre)と呼ばれる海流の中心付近に位置するため,南アメリカから運ばれるごみや漁業船から捨てられたごみのたまり場になっていたのです.
もはやプラスチックごみの見つからない浜辺はありません
調査のためにこの島に訪れたタスマニア大学の研究チームは,浜辺の1平方メートルの区画からなんと最大で671個のごみを見つけました.
無人の孤島で起きているこの事実は,もはや地球上で最も遠い島でさえプラスチック汚染からは逃げられないことを物語っています.
この研究の推定によると,これまでに17.6トン以上のプラスチックごみがこの島に漂着し,1つのビーチだけでも3570個以上のごみが毎日打ち上がっているそうです.
実際にはもっとたくさんのごみ
さらに今回の結果はプラスチックの数を実際よりもずっと少なく見積もっていると研究チームは考えています.
なぜなら今回の調査では,大きさが2mmよりも大きなゴミをだけを対象にしていたためマイクロプラスチックまでは含まれていません.
また砂浜を深さ10cmまでしか掘っていないので,もっと深いところにプラスチックが隠れているかも知れません.
さらに調査チームは砂浜だけを調査していますが,同じ海岸線にある崖や岩場まで調査できていません.
推定よりもさらに多くのプラスチックが漂着していることは明白です.もはやプラスチックが見つからない海はもうないと言っていいでしょう.