中国の研究チームは、アジア最大の川として知られる揚子江(ようすこう)の上流に生息する魚の消化管からマイクロプラスチックを見つけたと発表しました(Zhang et al. 2017)。
研究チームは、揚子江に流れる支流、Xiangxi川において、表層と川底で曳き網(目合い112マイクロメートルの網)による採集を行いました。
すると、表層では1平方キロメートルあたりに最大3,420万個のマイクロプラスチックが採集され、さらに川底からは最大で8,640万個のマイクロプラスチックが採集されたのです(Zhang et al. 2017)。
表層で多かったプラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンでしたが、川底ではさらにペットボトルに使われるPET(ポリエチレンテレフタレート)の破片も多く採集されました(Zhang et al. 2017)。
研究チームはさらに川に生息する13種の魚、計35匹の消化管を調べたところ、およそ3分の1(25.7%)にあたる9匹の消化管からプラスチックの破片がでてきました。
そのうちほとんどはポリエチレンでした(Zhang et al. 2017)。 しかし、川の表層と川底に沈んだマイクロプラスチックのかなりの量を考えれば、この割合(25.7%)は意外と少なかったとも言えるでしょう。
この割合は北海の魚で見られる割合(0-15%)よりは高いものの(Foekema et al. 2013)、東京湾のカタクチイワシ(77%, Tanaka & Takada 2016)や、中国の他の水域における淡水魚・海水魚(56-92%)で見られた割合よりは低かったのです(Jabeen et al. 2017)。
研究チームは水質が悪いと魚がマイクロプラスチックを食べている傾向が見られることも指摘しています。
廃棄物の管理がうまくできていないこの地域では、雨によって陸上のごみが川に流されることが、この川におけるプラスチックごみの最大の発生源だろうと見られています(Zhang et al. 2017)。