海のプラスチックごみ関連の書籍・雑誌を紹介します。本屋さんやAmazonで現在も入手できる本・雑誌に加えて、すでに絶版になってしまった「海洋ゴミ」に関する書籍をご紹介します。
海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士、ごみを語る
岩波書店から「海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士、ごみを語る」が発売(2019年9月19日)。本サイトの「海のプラスチック」のブログが書籍になりました。
海のプラスチック問題は国連や首脳会議で大きく取り上げられ、国際的に超緊急を要する課題となっています。本書は、海洋プラスチック汚染についてこれまでに分かってきたことを網羅的にとりまとめたものです。
1冊読めば、「海洋プラスチックの何が問題なのか」がわかるようになっています。
◉プラスチックが海に拡散・蓄積すると何が問題なのか?
◉どうして海に流れ込むのか?
◉どこからたくさんやってくるのか?
◉海に流れ出たあとはどうなるのか?
◉どうやったらこの問題を解決できるのか?
◉どうしてプラのリサイクルは進まないのか?
などなど、様々な角度からこの問題に迫っていきます。
▽岩波書店さんのウェブサイトから本書の第一章が無料で立ち読みできます!
岩波科学ライブラリー
海洋プラスチック汚染「プラなし」博士,ごみを語る
プラスチックスープの海ー北太平洋巨大ごみベルトは警告する
カリフォルニア沖に不気味に漂う大量のプラスチックごみ。太平洋グレートごみパッチ(太平洋ごみベルト)を見つけたチャールズ・モア船長の奮闘を描くドキュメンタリー本。
モア船長のプラスチック汚染に対する取り組みと海ごみ問題の実態が交互にわかりやすく解説され、ぐいぐいと引き寄せられるように読めます。
海洋プラスチックごみが汚染物質を媒介する事実についても詳しく述べられ、読み進めると日本人研究者の貢献(農工大の高田教授率いるチームの貢献)が非常に高いことがよく分かります。
オススメです!
クジラのおなかからプラスチック
子ども向けに書かれた海洋プラスチックの本。プラスチックがなぜ問題なのか、そしてどうしたら解決できるのまで、やさしく平易な表現でまとめられています。著書は海洋物理が専門の保坂直紀さん。
これから海洋プラスチックを勉強する大人にもぜひ読んでもらいたい。
オススメです!
ナショナル ジオグラフィック日本版 2018年6月号「海を脅かすプラスチック」
この雑誌一冊で、海のプラスチックがなぜ問題なのかがぱっと分かります。ビジュアルにまたドキュメンタリーちっくに読めます。
全て英語からの翻訳のため、個人レベルで出来るプラスチック対策にについては日本とのギャップを感じますが。
オススメです!
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プラスチックの海―おびやかされる海の生きものたち
1995年に出版されました。おそらく、プラスチックごみが海洋生物を脅かすことを書いた最初の日本語の本です。
プラスチックごみが海鳥に誤食されていること、遺棄された漁具が海生哺乳類やウミガメに絡まる実態や、プラスチック片を飲み込むミズウオの実例を紹介しています。
驚くことに、小笠原の海岸や北海道の海表面を漂う微小プラスチック(まだマイクロプラスチックという言葉が普及していない時代!)の調査結果も公開されていました。その他(当時の)国内外の海洋ごみへの取組について詳しく紹介しています。
海ゴミ−拡大する地球環境汚染
海岸に打ち上がる漂着ごみに特化した本で、日本の海岸に打ち上がるごみとその影響を徹底的に解説しています。2007年出版。
使い捨てライターに印字された文字や数字から排出国を推定する「ライタープロジェクト」の紹介を通して、中国や韓国から日本に流れてくるごみ、さらに日本のごみもまた海外(中部太平洋)へ流れていく実態を描いています。
海はゴミ箱じゃない!
日本全国の海岸にさまざまな種類のごみが大量に漂着していることを書いた本です。2008年出版。著者は、先の「海ゴミ」の著者の一人。
内容は先の「海ゴミ」とかぶる点もありますが、ごみの原因を探して荒川をさかのぼり、落ちているごみのレビューが興味深い。また、瀬戸内海の海底に沈んだ漂着ごみの実態についても紹介しています。
散乱ペットボトルのツケは誰が払うのか−デポジット制度の実現を目指して
海洋プラスチックごみ問題の紹介から始まって、散乱したペットボトルの問題を指摘。
日本のペットボトルの回収率(かなり高い)の数値が怪しい点をつっつき、ペットボトルのリサイクルの現状を説明しています。
そしてペットボトルにボトル回収費用を上乗せするデポジット制度(返却すればお金が戻ってくる制度)を導入するメリットを紹介しています。
海の環境100の危機
海洋ごみの専門書ではないが、第3章の「環境保護・人と社会の取り組み」で漂着ごみの実態や、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人潜水調査船が日本周辺の深海で見つけたごみについて紹介しています。
使い捨てライターを使って漂着ごみの流出地と漂着地の関係を明らかにする取り組みについての解説がわかりやすい。