使い捨てプラスチックは、使っているその時は便利に感じます。
使い終わって捨てた後は、残念なことに一部は海に入りこみ、魚やウミガメ、海鳥などの海洋生物や海の生態系を苦しめています。
プラスチック製の袋やビール缶をまとめるプラスチックのリング、漁師が捨てたプラスチック製の漁網などに多くの海洋生物が絡まっています。
また海のプラスチックごみは、やがてボロボロに砕けて、マイクロプラスチックという小さな粒子になり、多くの海洋動物が餌と間違えて食べています。
海洋動物は、まったく栄養のない、むしろ有害物質を含んだプラスチックごみでお腹を満たしているのです。
米国カリフォルニアにあるモントレーベイ水族館では、展示や教育活動などを通して海のプラスチック汚染の撲滅に真っ先に取り組んでいます。
プラスチックフリーを目指すモントレーベイ水族館
モントレーベイ水族館(Monterey Bay Aquarium)は米国カリフォルニアにある、おそらく全米でナンバーワンの人気を誇る水族館です。
その展示力の高さにアメリカ人の誰もが絶賛して褒めちぎっている水族館です。
モントレーベイ水族館は、プラスチックによる環境汚染をなくすことにいち早くから取り組んできた水族館としても有名です。
水族館のスタッフ自身がまわりを見回し、ゲストや業者さんと話し合うことで、使い捨てプラスチックを使わなくても良い作業や工程がないか常にチェックしています。
そして試行錯誤を繰り返しながら、水族館から使い捨てプラスチックをなくすように取り組んでいます(Monterey Bay Aquarium)。
とくに、カフェ、レストラン、ギフトショップで使い捨てプラスチックを抹消する努力には目を見張るものがあります。
今回はモントレーベイ水族館の取り組みを覗いてみましょう。実際に行って見て話を聞いてきました。
水族館の命である水から!飲料ボトル
プラスチック汚染の問題が取りざたされるようになってから、モントレーベイ水族館のカフェでは、ペットボトルでの水の販売をやめ、紙パックの水に切り替えていました。
しかし、紙パックはご存知の通り、内側がプラスチックでコーティングされています。
そこで今年の初め、水族館は思い切って紙パックの販売もやめて、ステンレス製の再利用可能なボトルに水をいれて販売をはじめました。
少し値段はしますが、水族館のロゴも入っており、マイボトルとしてギフトにもなります。
マイボトルを持っているゲストは、水族館の中にいくつも設置されている給水機で水を補充することができます。
カフェやレストランで使い捨てプラを見ることはありません
カフェでオーダーするコーヒーはマグカップで提供されます。
ジュースやソーダ類はリサイクル可能なガラスのコップで販売しています。
プラスチック製のスプーンもフォークもありません。全部金属製になりました。
プラスチックの容器に入っていたヨーグルトもやめて、瓶詰めの水族館オリジナルのパフェヨーグルトの販売に変更しました。
カフェやレストランで提供するストローも紙製に変更しています。
ギフトショップでも最小限の使い捨てプラスチック
ギフトショップでは、使い捨てプラスチックにさよらなするための再利用できるアイテムも売られています。
オリジナルのロゴが入ったメイソンジャー(ふた付きのガラスマグ)やガラスのストロー、ステンレス製のお弁当箱などです。
モントレーベイ水族館は、ギフトショップに卸している取引先の小売業者と協力して、プラスチックに代わる包装についてギフトの製造業者と話し合いを重ね、プラスチックの包装を最小限にする努力を続けています。
この取り組みによって、あるおもちゃメーカーは製品パッケージを使い捨てプラスチックではないものに変更すると同意し、これにより(水族館以外も含めて全体で)約4トンの使い捨てプラスチックごみを削減できる予定です(Monterey Bay Aquarium)。
別のメーカーは紙箱を閉じるのにセロハンテープから紙製のステッカーに変更しました。
また別のメーカーは、木製ペンを梱包するのにプラスチックケースを使用しないよう、新たな包装の開発を進めています。
現在のところ、モントレーベイ水族館のギフトショップでは、商品の包装に使い捨てプラスチックを使用している率は7%以下です。
2021年までにもっと減らすことにしています(Monterey Bay Aquarium)。