「玉子焼き器」は伝統の銅・鉄製!短寿命なフッ素加工は使い捨てプラ

銅の玉子焼き器で卵焼きを焼く様子

お使いの調理器をプラスチックフリーにしてみませんか?

ここでは「銅製の玉子焼き器」をご紹介!

フッ素加工はプラスチック。その寿命の短さに「使い捨て」同然で次々と買い替えていませんか?

日本の伝統的な玉子焼き器は銅や鉄製。1つ持っていれば一生もの、しかもふんわり食感の美しい玉子焼きに仕上がります♪

「玉子焼き器」は日本のプラなし調理器

日本独自の玉子焼き器。

昔は銅や鉄など丈夫な素材で長く使われていましたが、今ではライフサイクルの短いフッ素加工品に溢れています。

使い捨て感覚のフッ素加工(テフロン加工)商品

フッ素加工の玉子焼き器

食材がくっつかず、面倒な手入れもなく、どこでも手に入ってしかも安い。

忙しい現代人にはうってつけのフッ素加工の調理器。

ですがごく最近まで、フッ素加工には人体に深刻な影響を与える化学物質(ペルフルオロオクタン酸:PFOA)が使われていたのはご存知でしょうか?

テフロンはプラスチック!鉄フライパンで料理をもっとおいしく安全に

世界的に使用禁止の流れにはなっていますが、その代替物質を公表しないメーカーもあり、健康上全く問題ないとは言い切れないのが現状です。

さらに、フッ素樹脂はプラスチックの一種。単独では金属に密着できないため、前述のPFOAなどの助剤を使ってコーティングします。

そこで問題になるのが熱や傷といった外からのダメージ。

フッ素加工はこういった使用上避けられないダメージに弱く、いつのまにか剥がれて効果を失います。

傷がついたフッ素加工の玉子焼き器の内側
フッ素加工の表面に傷がついた玉子焼き器

他のプラスチック製品と同様に長持ちしないんです。これは経験的にわかっている方も多いと思います。

業者にフッ素加工の補修を依頼することもできますが、たいていの人はそのまま不燃ゴミとして廃棄。なぜかまた新たにフッ素加工の調理器を買い求めます。

もはや使い捨て感覚の調理器ですよね。日本人が本来持っている「ものを大事にする」心はどこに行ってしまったのでしょうか。

銅製の「玉子焼き器」は一生もの

銅製の玉子焼き器
中村銅器製作所の玉子焼き器

そもそも卵焼きは日本独自の卵料理。その起源は江戸時代の末期にまで遡り、当時の料理本には正方形の玉子焼き器が描かれています(江戸食文化紀行江戸時代の食風景)。

もちろん当時はフッ素樹脂などというものは存在しないので全て純金属製。中でも銅製は、今でも一流料亭の料理人や寿司職人といったプロが愛用するスペシャルな一品です。

使い込むほど色が濃くなり、使いやすさと味わいが増す感覚はフッ素加工の調理器では得られない楽しみ。

まさに一生ものといえます。

中村銅器製作所の玉子焼き器を横から見た様子
木製の取っ手は交換可能。緩みを感じたら木槌で打ち込んでメンテナンス。
中村銅器製作所の玉子焼き器の取っ手部分
一つ一つ、職人さんが手作業で作り上げます。

▼この記事で使っている玉子焼き器はこちらです♪

銅の玉子焼き器の使い方とお手入れ

銅の玉子焼き器で作った厚焼き玉子

ここでは創業80年以上の中村銅器製作所の玉子焼き器を使ってみました!

銅は卵焼きにぴったりの素材。ふんわりとした食感の卵焼きに仕上がります。

その使い方とお手入れ方法をお伝えします。

動画で楽しくチェック!▼


https://youtu.be/b8w9UXw60qE

【卵焼きを作る】火加減は弱~中火で、手際よく!

\ 厚焼き玉子の材料 /

  • 卵 3個
  • 砂糖 小さじ3~4
  • 醤油 小さじ1.5

\ だし巻き玉子の材料 /

  • 卵 3個
  • だし汁 75ml
  • 薄口醤油 小さじ1

★材料は全て泡立てずに混ぜ合わせます

あると便利なもの

【木蓋や巻き簾】

玉子焼き器用の木蓋や、巻き簾があるとキレイな仕上がりに。
木蓋は焼きあがった卵焼きに押し当てて形を整えます。また押し当てた状態でひっくり返せば、型崩れせず卵焼きを取り出せますよ。

【ヘラ】

菜箸で巻くのが難しい場合は、ヘラを使うと便利。お使いの玉子焼き器の幅にぴったり合うものがおすすめです。素材はシリコーンやステンレスがあります。

【準備】コンロの周りに卵液・おたま・サラシorキッチンペーパー・菜箸を用意。

1. 玉子焼き器を弱火で温める。

2. 油をひいて、サラシやキッチンペーパーで隅々になじませる。

温めた玉子焼き器にキッチンペーパーで油をなじませるようす
卵液を少し垂らして焼け具合を確かめるようす
卵液を少し入れて、ジュワッと美味しそうに火が通れば準備OK!

4. おたまに卵液をとり、玉子焼き器にそそぎ入れる

玉子焼き器に卵液を注ぎ入れる様子
ジュワ〜っといい音♪

5. 半熟状態のままかき混ぜ、奥に寄せる

半熟状態のままかき混ぜる様子
ここではきれいに巻かなくてOK
半熟状態の卵液を玉子焼き器の奥に寄せる様子

6. 再度おたまに卵液をとり、玉子焼き器にそそぎ入れる

再度卵液を注ぎ入れる
卵焼きの下にも卵液が行き渡るよう、少し浮かして流し込む

7. 奥から手前に巻く

奥から手前に巻く様子
完全に火が通る前に手際よく巻く!
空いているスペースにキッチンペーパーで油をひく様子
くっつきが気になるときは、都度サラシやキッチンペーパーで油をひく(2で使ったもの)

8. 卵液がなくなるまで6~7を繰り返す

9. 表面を好みの焼き色がつくまで焼く

好みの焼き色がつくまで表面を焼く様子
銅製は余熱でも火が入ります

10. まな板に取り出し、食べやすい大きさに切って完成♪

出来上がった玉子焼き
焼きムラのないふわふわの卵焼きが完成♪

使い始めは「油ならし」をする

初めて使う際、こびりつきを防ぐために油ならしをします。

まず玉子焼き器を洗剤でよく洗って完全に乾かします。その後、鍋の7分目くらいまで油を注ぎ、弱火で4~5分煮ます。完全に冷めたら油を捨ててください。(不純物が浮き出ることがあるため、油の再利用はお勧めできません)

【使用後のお手入れ】汚れを拭いて油を塗るだけ!

1. 調理後、熱が冷めたらキッチンペーパーや布で内側をきれいに拭き取る

2. 油を薄くひいてそのまま収納する

きれいにした玉子焼き器に布で油を薄く塗る様子

外側は洗剤で洗ってもOKです。

玉子焼き器の4つの選び方とおすすめの日本製品

①素材

主な素材は銅と鉄。ステンレスやアルミニウム、セラミックもありますが、多くはフッ素加工が施されています。

銅製

卵焼きに最もおすすめ!銅は熱伝導率が高く、火加減は弱火~弱めの中火で十分。余熱でも火が通るほど熱の伝わりに優れています。均一に火が通るので、焼きムラがなくふんわりした卵焼きに。軽いので調理も楽チンです♪
新品の状態ではこびりつくため、油ならしが必要。

錫メッキ有り無しの違い

銅製は錫(すず)でメッキされたものと、メッキがなく純粋に銅だけで作られたものがあります。
より熱の伝わりが早く、プロの料理人が使うのはメッキなしのもの

昔は銅の表面にできる錆は有害とされ、これを防ぐために錫メッキが行われていました。
今ではこの錆は無害であることがわかり、必ずしもメッキの必要は無くなりました。しかし昔の名残で今も錫メッキのものが作られています。

鉄製

フライパンの愛用者が多い鉄製。もちろん卵焼き用もあります。
銅より熱の伝わりは劣るため、内側は柔らかく、外側は硬めの仕上がりになるのが特徴。こちらも使い始めは油ならしが必要です。

②サイズ

玉子焼き器を選ぶ際はサイズもチェック!横幅と深さで容量が変わってきます。

たくさんの卵を使って分厚い卵焼きを作りたい場合は深めのものを。幅が狭く、浅いものは一人暮らしにぴったりです。

家族の人数や好みの卵焼きによって選んでみてください。

③形

玉子焼き器には正方形(関東型)と長方形(関西型)があります。

正方形は分厚く二つ折りにした「厚焼き玉子」に昔から使われてきました。

長方形は「だし巻き玉子」にぴったり。生地が柔らかく何層も繰り返し巻く必要があるため、正方形の玉子焼き器では難しいんです。

作りたい玉子焼きのタイプで選ぶといいですね!

created by Rinker
ナカムラドウキセイサクショ(Nakamuradouki)

④IH対応

銅製品はIHでは使えないためご注意を!

鉄製は使えますが、熱源に対してサイズが大きいと熱の伝わりにムラが出てしまいます。

サイズ選びに気をつけてください

こんな使い道も!玉子焼き器でできるレシピ

食パンを銅の玉子焼き器でトーストしている様子
玉子焼き器を弱火で温め、油をひかずじっくりトースト♪

玉子焼き器はちょっとしたおかずを炒めても便利。なんと食パンもトーストできるんですよ!

スイーツやおつまみ作りに役立つレシピ、調べるとたくさんあります♪

▷プチロールケーキ◁

急なおもてなしスイーツに!

参考 卵焼き器で作るプチロールケーキNadia

▷パンケーキサンド◁

カットしたパンケーキに具だくさんの卵焼きなどをサンド!

参考 そばパンケーキサンドウーマンエキサイト

▷丸くないたこ焼き◁

専用のたこ焼き器いらずで手軽に作れるたこ焼き!

参考 卵焼き器で♪簡単たこ焼き風Nadia

▷オムレツ◁

ワインのおともになる、おしゃれなおつまみ!

参考 卵焼き器で焼いた、洋風卵焼きNadia

▷チヂミ◁

モチモチのおつまみチヂミ!

参考 卵焼き器で簡単ニラチヂミkurashiru

まとめ

ここでは銅の玉子焼き器についてご紹介しました。

こうした伝統工芸品を生活に取り入れると、ものへの愛着や長く大切に扱う心が育つ感覚があります。

使い捨て同然の商品は確かに安くていつでも手に入り、便利です。しかしその引き換えに大切なことを忘れさせ、心の余裕を奪います。

ここでご紹介した内容を参考に、ぜひ調理器のプラスチックフリー化を実践してみてください!