ウミガメは、もっともよく知られたプラごみの犠牲者の1つです。
多くのウミガメが、遺棄・投棄されたプラスチック製の漁具やロープに絡まり死亡しています(Laist 1997)。
世界中で報告されるウミガメの絡まり事故
すでに100%のウミガメ種(7種のうち7種)で海洋ゴミによる絡まりが知られています(Kühn et al. 2015)。
捨てられた漁具に絡まったウミガメは、移動する能力を奪われ、食べることも出来ず、待っているのは餓死だけです。
あるいは呼吸ができずに溺れ死んでいきます(Laist 1997)。
特に幼体が漁具に絡まり溺れ死んでいます。
ほとんどは捨てられて漁具が原因
絡まりによって皮膚の感染症にかかり、腐敗が進行して足の切断などが起きる場合もあります(Orós et al. 2005, Barreiros & Raykov 2014)。
遺棄された漁具は、幽霊にように漂い、生物を無差別に絡めて殺戮していくため、ゴーストネットと呼ばれます。
史上最悪のゴーストネットが漂う北オーストラリアでは、2005年から2012年の間に約9,000個のゴーストネットが回収されており、ゴーストネットに絡まるウミガメの数は1年間に最大で14,600頭と推定されています(Wilcox et al. 2015)。
オーストラリアの北に位置するアラフラ海やティモール海では、違法操業が頻発しており、監視の目を逃れるために、帰港する前に漁具をわざと海中に捨てることがあります。
スペインのカナリー諸島でウミガメの死因を調べた研究では、ウミガメの死因の7割が人間活動と関係していると報告しており、そのうち死因の25%は遺棄された漁具による絡まりでした(Orós et al. 2005)。
プラごみが原因で死亡したウミガメが海岸に漂着する割合はたったの7-13%しかなく(Bugoni et al. 2001)、したがって海岸に漂着した死体はプラごみに絡まって死んだウミガメ全体のほんのわずかでしかありません。
絡まるのは水中だけではありません。
砂浜を這うウミガメも海ごみに絡まっています。
例えば、孵化したばかりのウミガメの赤ちゃんが海に向かって走った際、砂浜に散乱した漁具に絡まり、身動きがとれなくなることが報告されています(Kasparek 1995, Ozdilek et al. 2006, Triessing et al. 2012)。