世界中の海を航海している巨大貨物船。全体で500~600万の輸送コンテナが海上を行き来しており、年間およそ1万個ものコンテナが海に落下していると推定されています(SingularityHub Apr 2011)。
コンテナの中にはプラスチック製品や化学薬品、家庭用洗剤なども積み込まれており、海洋汚染と深くつながっています。
巨大波で海に投げ出されたコンテナ
英の南西に位置するコーンウォール地方。
穏やかな海をのぞむコーニッシュビーチに、子供のおもちゃで有名な「レゴブロック」が打ち上げられているのをご存知でしょうか。
1997年2月13日、Tokio Expressはオランダのロッテルダムからニューヨークへ向う途中、巨大波(フリークウェーブ)に見舞われました。貨物船は激しく傾き、62個のコンテナが海中に投げ出されたのです。
紛失したコンテナの1つには約500万個ものレゴブロックが入っていました。
皮肉にも、その大部分は海をテーマにしたもの。色鮮やかなタコやスキューバのブロックが、22年経った現在もコーニッシュビーチに日常的に打ち上げられているのです。
海を汚染し続けるレゴブロック
海に落ちたものは4,756,940点にも及び、そのうちの3,178,870点はとても軽く、海面に浮遊するものであることが船舶会社のマニフェストによって明らかになっています。
レゴはもちろんプラスチック製品。生分解するのに数百年かかります。その間、魚や海鳥、海洋哺乳類に健康上の害を与え、数十年も海を汚染し続けているのです。
悲しいことに、このTokio Expressのコンテナから海に落ちたレゴは希少価値の高いものとしてコレクターズアイテムになっています。
今も世界のビーチに漂着しています
コーニッシュビーチで最近行われた清掃活動では、レゴだけでなく1,097本のペットボトルやその断片、158個の破れた漁網、74個のゴーグルやメガネ、32足の靴が発見されたと言います。
さらに、オーストラリアのメルボルンでもレゴの一部とみられるプラスチック製の魚のヒレが見つかりました。
ただ、これらが紛失したコンテナから溢れたものか判断する術はありません。
もしそうだとすれば、20年あまりで62,000マイル(約10万km)も漂流した可能性があると専門家たちは述べています。
コンテナ自体も生態系を壊す危険性があります
米のモントレーベイ水族館(MBARI)の調査によると、海中に投げ出されたコンテナが生物の新たな住処となっていることがわかりました。
これが何を意味するかというと、本来ならその地域に生息しない種が住み着き、生態系を崩す恐れが出てくるのです(MBARI / Lost shipping container study)。
今この瞬間も、世界のどこかでコンテナが海に落ち、そこからプラスチックや化学薬品が海に放たれているかもしれません(Cornwalllive Feb 2019)。
▽こちらの書籍でも海に流入したプラスチックについて詳しく紹介しています。