国内9企業のリサイクル・プラごみ削減の取り組み

プラスチック廃棄物

2017年、中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことで、これまで輸出していた日本国内のプラスチックごみが行き場をなくしています。国内でのリサイクル能力の拡大や、プラスチック削減に取り組む企業が増えつつあります。

国内リサイクル

国内のプラスチックごみを再資源化するため、リサイクル工場の建設やペットボトルの再生が相次いで進められています。

大栄環境ホールディングス(神戸市)

資源再生大手の大栄環境ホールディングスは、リサイクル新工場を大阪府に建設予定。これまで中国に輸出していた廃プラを、食品などの配送に用いられるプラスチックのケースにリサイクルします。稼働は2020年度の予定。

協栄産業(栃木県)

使用済みペットボトルのリサイクル企業である協栄産業は、サントリーホールディングスと共同投資して使用済みペットボトルの再生を行います。再生されたボトルは、子会社が販売するペットボトル飲料の約6%、本数にして年間3億本の割合で利用されます。

岩谷産業(大阪市)

ペットボトルとして何度もリサイクルできる「再利用可能樹脂」の販売を拡大していきます。このPET樹脂は、タイの大手化学メーカーであるインドラマ・ベンチャーズが開発・生産したもの。高い透明度を保ち、ボトル to ボトルのリサイクルが可能です。岩谷産業はこのPET樹脂を仕入れ、飲料メーカーに販売。2018年度は1万5000トンの販売を見込んでいます。

ただ、再生ペットボトルを量産化できる企業は現時点で少なく、流通量は全体の1%程度とごくわずか。効率的に生産する技術を普及させていくことが今後の課題です。

双日

大手総合商社である双日は、廃プラスチックのリサイクル事業に乗り出します。プラスチックごみを、プラスチックの原料となるペレットにリサイクルする企業への出資、または買収を計画。今春にも事業を開始させ、順調にいけば海外展開も見込んでいます。

企業のプラごみ削減

包装や買い物袋など、使い捨てプラスチックごみの削減を進める企業も。

味の素グループ

2030年までにプラスチック廃棄物ゼロを目指します。包装に使われるプラスチック素材を減らし、紙などに置き換え。すでに「ほんだし」など一部商品のパッケージ主原料が紙製に変更されています。プラスチック削減量は年間11トンを見込んでいます。

H&M

昨年12月5日より、国内88店舗の買い物袋を順次紙製に変更。アクセサリーなどを入れる小さな紙袋は無料ですが、それ以外のサイズは一律20円。利用客にマイバッグの持参を呼びかけています。さらに2030年までに全製品の原材料をリサイクル素材または天然素材へ切り替えます。

良品計画

19年4月に開店する「無印良品」銀座店にて、買い物袋が原則紙製に。買い物客の反応を見て、他の店舗への拡大を検討していきます。靴下やレギンスなど、商品を陳列する際に使われるプラスチック製のフックも紙製に置き換え。19年度中に全国の店舗で実施されます。

ZARA

ZARAでは現在ビニールバッグと紙製バッグが使用されています。ビニールバッグは靴やカバンなどの商品を包装する際に使われていますが、2019年以降、紙製に統一していく方針です。

ユニクロ

世界2000店舗で使用されているレジ袋や包装材の見直しが始まります。現在、紙や生分解性プラなど様々な素材を対象に、コストや環境面から置き換え可能か検討が行われています。すでに試作品の作成が進められており、安全性・安定性・消費者の反応をみて切り替え時期が決定されます。

参考:日経新聞 14 Nov 2018,  29 Nov 2018, 5 Jan 20197 Jan 2019, 12 Jan 2019

国内での再資源化・脱プラスチックを進めるとともに、個人のライフスタイルを見直し、安易にプラスチックごみを出さない努力が求められています。