チューインガムはお好きですか?虫歯予防のためにキシリトールガムを噛んでいる方も大勢います。ところで、ほぼ全てのチューインガムは、プラスチックで出来ていることを知っていましたか?
はい、ガムを噛んでいるということはプラスチックを噛んでいるという事です。
街の歩道に吐き捨てられたガム。べちゃっと路上に張り付いて丸く黒い塊になっています。あれ、ずっとなくなりませんよね。プラスチックだからです。
ガムの原料となるガムベースとは?
昔ながらのガムはチクルという天然樹脂が主原料でした。現在のガムの基材(ガムベース)にはエステルガムのほか酢酸ビニル樹脂やポリイソブチルを含む合成樹脂が使われています(日本食品食品化学研究振興財団)。
さて、ガムベースの原料のひとつである酢酸ビニル樹脂(ポリ酢酸ビニル、polyvinyl acetate)とは何でしょうか。
ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルを重合して得られる無色透明の熱可塑性樹脂で、木工用ボンドなどの接着剤、洗濯糊、乳化剤などにつかわれるポリマーです。
ポリ酢酸ビニルは危ないのでしょうか?
食品衛生法では問題ないとされていますが、ある実験では、ポリ酢酸ビニルの原料モノマーである酢酸ビニルによって実験用のネズミに腫瘍が発見されたことが報告されています(International Agency for Research on Cancer, Agency for Toxic Substances & Disease Registry)。
2008年、カナダ政府はチューイングガム製品に含まれている可能性のある酢酸ビニルを有害物質として取り扱う事を示唆しました。
しかし「ほとんど入っていない、もしくは入っていても害がないほどに微量」という菓子/ガム産業からの反発によって、取り扱いへの注意も緩和せざるをえなかったそうです(Ecologist 2010)。
全てのチューイングガムがポリ酢酸ビニルから製造されているのでしょうか?
ラベルに記載されている原材料に注目してください。
もし「ガムベース」で作られている商品であったら、その中にポリ酢酸ビニルや、ペトロリアム、ラノリン、グリセリン、ポリエチレン、ペトロリアム蝋、ステアリン酸、合成ラテックスが含まれている可能性があります(U.S. FOOD & DRUG)。
ですが実際になにが使われているかはわかりません。
問題は私たち消費者が知らないうちにそれらを摂取しているかもしれないという事です。
例え上記の材料が含有されていたとしても製造者にはその全てを記載する義務がないのが事実です。
初期のガムは天然物質だった
チューインガム(Chewing gum)は元々、”チクル”という天然ガムから作られていました。
南米で採取されるサポジラの木の樹脂(樹液)を煮て作られていた天然樹脂です(Chemistry.About.com)。
チューインガムの歴史は古く、古代ではアステカ族やマヤ族などがサポジラなどの樹液を噛んでいたようです。
これがのちのヨーロッパに広まっていったといいます。味もしないため、これに色や味をつけて売り出していました。
しかし天然チクルの生産量の減少やコスト高、そして第二次世界大戦後からは合成樹脂が開発され、現代のチューイングガムは天然樹脂からポリ酢酸ビニルなどの合成樹脂に変化してきました。
市場では100%自然素材からできたガムも売られてはいますが、それはかなり少数で、他のほとんどのガムは人工的に作られた合成樹脂なのです。
いまでは天然のチクルを使い続けているガム会社はほとんどなく、アメリカのグリーガム社など、ほんの僅かになってしまいました。
チューインガムは使い捨てプラスチック
その上、考えてみてください。
「プラスチック」のチューインガムが口の中にある時間は数分〜数十分。
口から出してゴミ箱行き。まさに「使い捨てプラスチック」です。
噛まれた「プラスチック」のチューイングガムはどこへ行くのでしょうか。
適切にゴミ箱に捨てられれば焼却炉行き。多くの国では埋め立て地行き。さもなければ、環境中に放出され、新たな生物分解できない産物として私たちの地球上に半永久的に残り続けるでしょう。
「プラスチックな」チューインガムをやめる。
もしチューインガムが生活から外せない必需品だとしたら、天然素材だけで作られたガムはどうでしょう。噛むなら、天然ゴムのチューインガムを。
天然ガムのチューインガム
天然のチクルを原料にしたガム!生分解性なだけでなく、体に優しい自然なものをたくさん取り入れています♪
SIMPLY GUM
SIMPLY GUM(シンプリーガム)は、ニューヨーク州で生まれた天然ガム。
ガムの原料はチクル(サポジラの木の樹脂)。そのほかの原材料も自然由来。非遺伝子組換え、ヴィーガン商品です。
- サトウキビ(オーガニック)
- 天然チクルのガムベース(チクル、キャンデリラワックス、クエン酸)
- 天然フレーバー
- グリセリン(オーガニック野菜から抽出)
- 米粉(オーガニック)
フレーバーはミント、シナモン、ジンジャー、フェンネル、コーヒー、メープルの6種類。
今回試してみたのはミント味です。
紙のパッケージを開けると、小粒のガムがぎっしり!
パッケージには15粒と書いてありましたが、数えたら20粒でした。(結構アバウト?)
見た目はこんな感じ。表面は米粉なのか、手に取るとサラサラしています。
食べてみるとはじめはざっくりとした固さを感じますが、噛み続けると驚くほど柔らかく、滑らかな食感に変化!
甘さもちょうどいいです。ミントの爽快感もしっかり感じます。
噛み続けて5分くらいで甘さはなくなりましたが、ミント感はしばらく続きます。味はなくなってもふわふわした食感が楽しくて噛み続けましたよ。
包み紙もパッケージについています。もちろんパッケージ同様、素材は紙です。
しかしガム20粒に対して、包み紙は8枚。(どういうこと…?)
賞味期限を見ると2年間ほど。意外と長く持つので安心♪
アメリカではスーパーで普通に手に入るものですが、日本から購入するとお高いといういつものジレンマはここにも。
もうちょっと買いやすくなると、すごくいいガムだと思います!
▼この記事で試したプラフリーなチューインガムはこちら♪
THE HUMBLE CO.
スウェーデンのオーラルケアメーカー、THE HUMBLE CO.のチューインガムも天然ガム。
ガムの原料はチクル(サポジラの木の樹脂)やアラビアガム(アカシアの木の樹脂)など自然由来。
ノンシュガーで甘味料にはキシリトールが使われており、その含有率は約70%(フレーバーによって変わります)。
味は4種類あり、リコリス(※)、トロピカルフルーツ、レモン、ミント。どれもしっかりした甘みがあり、子供も好きになる味です♪
一般的なガムとの違いは比較的早く味がなくなってしまうところ。海外のAmazonレビューでもこの点を指摘する声が目立ちました。
ミント味で試してみたところ、噛み始めて2分ほどで甘みが消えます。その後はかすかにミントの香りがつづく感じ。
ですが、これは原材料が自然由来で、味が長時間続くような加工を一切していない「自然派ガム」である証拠!
具体的な成分は次のとおり。大部分が自然のものでした。
- 甘味料(キシリトール)(73.5%)
- 天然ガム(チクル)
- 天然フレーバー
- 保潤剤(グリセロール)
- 固化防止剤(ステアリン酸マグネシウム)
- 増粘剤(アラビアガム)
- 艶出し剤(カルナウバワックス:ブラジルロウヤシから採れるロウ)
市販のガムの原材料表示をみたことがありますか?より味が長く続くよう人工甘味料がいくつも入っていたり、香料が使用されているものがほとんど。
すぐに味が消えても、自然のことや健康に配慮したものを選びたいなと、このガムを知って思いました。
現時点(2020年9月)でHumble公式サイトか海外のAmazonでのみ購入可能です。
※リコリスは北欧のお菓子ではメジャーですが、日本人の口には合わないことが多いのでご注意。(私は最後まで噛みつづけることができませんでした…)
まとめ
いかがでしたか?
市販されている多くのチューインガムも実はプラスチック。
最近は街中にゴミ箱を見なくなりました。道端にペッと捨てること、それはプラごみをポイ捨てするのと同じなんですよね。
自然と健康に優しい天然のガムもご紹介しました。日本での入手は限られますが、ガムの多くはプラスチックであること、天然のガムが存在することを広く知って頂きたいです!