「ラバー消しゴム」はPVCを使わない、環境と体に優しい文具

シードのラバー消しゴム

消しゴムもプラスチックでできているって、ご存知でしょうか?

使うたびに出るそのカスも、もちろんプラスチック!

しかも、世の中のほとんどの消しゴムはPVC(塩化ビニル)という、一番に避けたいプラスチックでできています。

そんなPVCの問題も含めて、より環境や健康に配慮した消しゴムをお伝えします!

プラスチックに変わってしまった消しゴムの歴史

カラフルなプラスチック消しゴム

文房具店やショッピングセンターの売り場などを見ても分かる通り、ほとんどの消しゴムはプラスチックですよね。

それ以外のものを探す方が困難、といってもいいほど。

そんな消しゴム、昔はすべて天然ゴムで作られていました。

現在のプラスチック消しゴムが日本に登場したのは1955年(昭和30年)ごろ。

従来の天然ゴムよりもよく消えるため、メーカーはその消す力を追求。

そして1959年、日本は世界のどこよりも早くプラスチック消しゴムを発売し、そこから大量生産が始まりました。

「まとまるくん」で有名なヒノデワシは、元は天然ゴムの消しゴムメーカー。1967年にプラスチック消しゴムの生産に切り替えました。

トンボの「MONO」も同じく1967年に誕生。もともとプラスチック製で、当時は1ダース鉛筆のおまけでした。よく消えると評判になり、顧客からの要望で商品化。生産を拡大していきました。

以降、天然ゴムの消しゴムは一部の商品を残して廃盤に。1999年にはそのJIS規格も廃止されました。

今や、プラスチック以外の消しゴムは滅多に見ることがなくなってしまいました。

プラスチック消しゴムは添加剤まみれ!

消しゴムの紙ケースに必ずといっていいほど書いてある「PVC」という文字。

PVCは「ポリ塩化ビニル(塩ビ)」というプラスチックを表します。

消しゴムはもちろん、料理に使うラップやビニール製のおもちゃ、壁紙、合成皮革など、日常生活のあらゆるところで見られます。

にも関わらず、PVCは最も危険なプラスチックの一つ体に有害な添加剤が大量に含まれています

プラスチック消しゴムの材料
塩化ビニル樹脂(PVC)またはABS樹脂
可塑剤(フタル酸エステル)
安定剤
研磨材

消しゴムに含まれる危険な化学物質

フタル酸

「可塑剤(かそざい)」って聞いたことあるでしょうか?

プラスチックに柔軟性を与え、成形しやすくするために使われる添加剤です。

「フタル酸エステル」は可塑剤を代表する化学物質。生殖障害をはじめとしたホルモン異常や、乳がんのリスクを高めることで知られています(López-Carrillo et al. 2010)。

「内分泌かく乱物質」とも呼ばれており、なんと商品の重量の40%近く入っています(Navarro et al. 2010,Hermabessiere et al. 2018)。

10gの消しゴムだったら、4gは可塑剤ということです。

他にもポリマーを安定させる「安定剤」として、ビスフェノールA(BPA)なども添加されており、これも健康を害する化学物質としてよく知られています。

子供の消しゴムほど慎重に考える

子供の消しゴムはカラフルで形も色々。いい香りがしたり、マスコット型になったものなど、子供が欲しがる要素がたくさん詰め込まれています。

直接鼻に当てて匂いを嗅いだり、かわいいから手でたくさん触ったり、おまけでたくさんもらったり…。こんなこと、よくありませんか?

添加剤の影響をきちんと知っておくことで、こういった危険を避けることができます。

ポリ塩化ビニル製のアヒルこんなに有害!ポリ塩化ビニル(PVC)を避けた方が良い理由

放っておくと怖い…消しゴムから浸み出す可塑剤

こんな経験はありませんか?

「プラスチックの筆箱に消しゴムを入れっぱなしにしておいたら、筆箱が溶けていた!」

「気づいたら鉛筆の塗装が溶けて、消しゴムとくっ付いてた!」

消しゴムを他のプラスチック製品に長時間接触させておくと、可塑剤がプラスチックに移行して溶かしてしまうんです。

通常1~2週間程度、夏場だと1~2日で浸み出すこともあります。

普通のどこにでもある消しゴムですが、紛れもなく可塑剤がその中に入っている証拠と言えます。

紙ケースが付いている理由

消しゴムに必ず付いている紙ケース。これは可塑剤の影響を防ぐためのものです。

次のような注意書きもあります。

  • 消しゴムや消しクズは、塗装面やプラスチック面などにくっついたり溶かすことがあります。
  • 使った後は、このスリーブに入れてください。

単なる収納ケースではないんですね。怖い…。

フタル酸フリーなラバー消しゴムを選ぼう!

世の中プラスチック消しゴムで溢れていますが、ご安心ください。

フタル酸フリーなものもちゃんとあります。

どんな材料でできてる?

まず気になる材質ですが、主に次の3つのものでできています。

ラバー消しゴムの材料

合成ゴム or 天然ゴム
サブスティチュート(不飽和油と硫黄を反応させてできる固形配合剤)
研磨材

PVC製のプラスチック消しゴムは、その消しかすも含めて本来なら燃やすべきではないもの。

高度な焼却設備でないとダイオキシンが発生し、環境への負荷が大きくなります

消しゴムメーカーのサイトを見ると「日本の高度な焼却設備なら燃やしても問題ない」といったことが記載されていますが、ダイオキシンが発生することを容認して使い続けていいのか…と疑問が残ります。

さらに、プラスチック消しゴムはマイクロプラスチックの発生源にもなります小さく削られた消しカスは、どんな経路で自然の中に入っていくかわかりません。

一方ラバー消しゴムは燃やしても有毒ガスの発生はないため、安心して可燃ゴミとして処分できます。

ただ合成ゴムが主流ですので、プラスチックと同様に自然分解はされない点に注意が必要です。

サブスティチュートって?
ゴムを加工しやすくするためのもの。ベタつきや収縮を防止する働きもあります。天然ゴムが高価だった時代に、その代用品や増量剤として使われていたことから”Rubber Substitute(ゴムの代用)”と名付けられました。参考:天満サブ化工株式会社

シード スーパーゴールド

最もメジャーで手に入れやすい2つのラバー消しゴムをご紹介します。

シードのラバー消しゴム

国内の文具メーカー「SEED」のラバー消しゴム。

素材は天然ゴム配合の生地。メーカーによるとPVCではないとのことで、おそらく大部分は合成ゴムと思われます。

合成ゴムには添加剤が入っていますが、フタル酸は使用されていません

金属スリーブはアルミ製。使うのがもったいない気もしてしまいますが、いつも宝物を持ち歩いているような、満ち足りた気分にさせてくれます。

最近では珍しい「角落とし」がされていて、とても丁寧な作り。

シードのラバー消しゴム

紙ケースだと使ううちにボロボロになってしまいますが、金属スリーブなら最後まで綺麗。

ペンケースから取り出すたびにうれしくなります♪

普通のプラスチック消しゴムと消し味を比べてみました。

「Less Plastic Life」の文字をそれぞれ消してみましたが、ラバー消しゴムは紙に当たる感触がソフトで、力を入れなくてもよく消えてくれます。

消し後を見ても(ちょっと見にくいですが…)、プラスチック消しゴムと比べなんら遜色ありません。むしろ良く消えている?

▼この記事で使った消しゴムはこちらです♪

ミラン 428 & 430 & 1012

スペインの文具メーカー「ミラン」のラバー消しゴム。素材は合成ゴムです。

ケースなどはなく、ロゴとバーコードだけがプリントされたシンプルなデザインです。

三角形の「428」、四角形の「430」、楕円形の「1012」がネットでもよく販売されていて、価格もお手頃。

海外製のステーショナリーを取り扱っている雑貨屋さんでもよく見かけます。個包装されていないものが多いですよ。

その他、デッサン用としても使える「1420」というタイプもあります!

口コミでは力の入れすぎに注意という声がありました。

とても気持ちよく使え、テンションが上がります。カスもキレイです

出典:Amazon

チーズのように消しゴムが入っていて評判が良い。大きさも程よく、消しやすいが、力を入れ過ぎるとすぐに割れるので、加減も必要。

出典:Amazon

▼この記事で使った消しゴムはこちらです♪

FLOMOのPVCフリー消しゴム

フロモのPVCフリー消しゴム

国内メーカーのFLOMO(フロモ)の消しゴムは全てPVCフリー!

フロモとMONOの消しゴムでそれぞれ鉛筆の線を消した後の様子

一般的なMONO消しゴムと比較してみても遜色ありませんよ♪

ノベルティ用の制作も請け負っています。

 

\ このほかのフタル酸フリーな消しゴム /

まとめ

安価なプラスチックや大量の添加剤と引き換えに、消す力を手に入れたプラスチック消しゴム。

環境や健康への心配があるにも関わらず、避けることが難しい今の現状ってちょっと異常だと思いませんか?

かつての日本のようにラバー消しゴムを当たり前にしていくには、私たち消費者が「何を選ぶか」にかかっています。

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