使い捨てのボールペンをやめて、万年筆とインクボトルを普段使いに。
いつのまにか増えてしまうボールペン
ボールペンって、ついつい溜め込んでしまいませんか?
「セットで買った方がお得だから」と5本10本まとめて購入。
家にあるのに粗品でもらったり、無駄に買い足したり。どんどんいらないペンが溜まっていきます。
多くの未使用のペンは引き出しやペン立てに入ったまま。気づいた時にはインクが固まって、そのまま処分ということも珍しくありません。
プラスチック製のボールペンの多くはリサイクルされず、ほとんど焼却処分されます。
1. とにかく使い切る
インクが出なくなったものは復活させる方法があります。調べるとたくさん見つかりますよ。
2. これ以上買わない、もらわない
すでに持っているものを使い切るまで買わないのはもちろん、粗品などは丁重に断って。
3. 新品は寄付する
文房具を海外の途上国に物資支援する団体があります。使いかけではない新品のものは、寄付を検討してみてください。
4. 正しい方法で処分する
多くの自治体ではプラスチック製のペンは可燃ゴミ、金属製は不燃ゴミに分別されます。分解して資源プラスチックにする地域もあり、ゴミに出す場合は自治体のルールを確認してください。
ボールペンってどのくらいで書けなくなる?
ボールペンって何日くらいでインクが切れるのでしょうか。
日本のペンメーカーでおなじみのゼブラ。その公式サイトに、ゼブラ製ボールペンの筆記可能文字数が掲載されています。
一番インク量の多いタイプを見ると、筆記可能な文字数は約30,000字。
これで何日くらい持つのでしょうか。
筆者が5分くらいでとった走り書きのメモは約150字。仮に一日400字を書くとすると、75日(約2ヶ月半)でインク切れする計算になります。
ボールペンの種類や使い方でインク切れする日数はもちろん変わってきますが、使い切った時点で多くのゴミが出るのはどれも同じ。
たとえ替芯だけであっても、そのプラスチック包装は依然として頻繁にゴミになっていきます。
万年筆を普段使いに!
インクを補充すれば繰り返し使える万年筆。
スラスラ気持ちいい書き心地と、温かみのある文字が楽しめます。
インクのカラーバリエーションも豊富!経済的でプラごみもほとんど出ません。
2時間ずっと書き続ける司法試験に、疲れにくい万年筆を使う人が多いそうです。
味わい深いインクの濃淡。線の強弱の美しさ。筆圧がそのまま字に反映されるので、トメ、ハネ、ハライがきれいに表現されます。
ドイツやフランスでは、教育の一環として万年筆が使われています。
特徴的な形のペン先。つやつやとした質感。ペン先の装飾も美しい。
ボールペンが一般的に使われている中、万年筆には特別な雰囲気が漂います。
買い足すのはインクボトルだけ。簡単には無くならないので、ボールペンやサインペンを買うより経済的。
容量は50~60ml。一般的な万年筆で約100回分の補充ができ、1回の補充で筆者は1週間以上もっています。(1瓶で1.5~2年くらい使えそうです!)
最初はペン先(ニブ)が紙に引っかかる感じがありますが、使い続けると先端がすり減ってきて、書きやすくなってきます。
それは、万年筆に自分の書き癖がついたということ。自分だけのものになっていく、大切に育てていく感覚があります。
ボールペンには出せない深い色合いが魅力。ガラスのボトルも素敵です。目移りするようなカラーバリエーションも楽しめます!
万年筆を選ぶ4つのポイント
マニアも多く、奥が深い万年筆。次の4つのポイントで選んでみてください。
①インクの補充は「コンバーター」がオススメ!
万年筆は、主にカートリッジ式とコンバーター・カートリッジ両用式の2つのタイプに分かれます。
コンバーター・カートリッジ両用式
コンバーターでインクボトルから直接補充できるタイプ。
ランニングコストが小さく、インクの種類や色も豊富!
カートリッジ式
インクが入った小型のカートリッジを付け替えて補充。
手軽ですが、インク量が少なく消耗も激しいためコストがかかります。
さらに、カートリッジは使い捨てプラスチックになるのでお勧めできません…!
②ペン先の太さで選ぶ
ペン先によって色々な太さがある万年筆。どんな用途で使いたいかイメージしてみると選びやすいですよ。
よく使われる5つのペン種とその特徴をチェック!
ペン種 | 特徴 |
---|---|
EF(極細字) | カリカリとした筆記感。 メモ帳や手帳など、狭いスペースに小さい字で書くことが多い人に。 |
F(細字) | 紙によってはカリカリした筆記感。 ノート・書類・手帳などにボールペン感覚で使いたい人に。 幅広い用途で使える。 |
FM(中細字) | 年筆らしいさらさらした書き味。 インクの濃淡で文字に表情が出やすい。 ノート・書類などに、ちょうどいい太さの読みやすい字が書きたい人に。 手帳の狭いスペースには不向き。 |
M(中字) | 万年筆らしい文字が書ける。 ゆったりした味のある文字を書きたい人、インクの美しさを楽しみたい人に。 手帳や小さな方眼はにじみが多くなるので不向き。 |
B(太字) | 線が太いのでインクの濃淡が美しく出る。 ハガキの宛名や手紙など、おおらかな字で書きたい人に。 サイン(署名)にもよく使われる。 普段使いは難しい。 |
③ペン先の素材で選ぶ
ペン先の素材によっても書き味が変わってきます。
ペン先の素材 | 特徴 |
---|---|
金(18K、14K) | 実用的なのは14K。 インクが出やすいやわらかめの書き味。 コシがあるので、筆圧によって線の太さが変わり、強弱をつけやすい。 筆圧が弱い人や筆に慣れている人にオススメ。 |
ステンレススチール・スチール | 金より少し硬めの書き味。 リーズナブルな万年筆によく使われるので初心者におすすめ。 |
特殊合金 | スチールに金メッキ処理したもの。低価格な万年筆に使われるので初心者におすすめ。 |
④キャップの締め方で選ぶ
キャップにはねじ式と嵌合式の2つのタイプがあります。
ねじ式とは、くるくると回して開閉するスクリューキャップのこと。密閉性が高く、インクの乾燥を防ぎます。
一方、嵌合式は「カチッ」とはめ込むタイプのキャップ。素早く開け閉めできるのが利点です。
気軽に使える!LAMY(ラミー)の万年筆
万年筆は100万円を超えるものから数百円のものまでさまざま。
万年筆の良さを感じられる初心者向けのモデルは、3,000円〜15,000円の価格帯に多くあります。
国内メーカー
- パイロット:COCOON, カスタム74
- プラチナ万年筆:バランス, 14Kスタンダード, #3376センチュリー
- セーラー万年筆:ヤングプロフィット, プロフィットスタンダード
海外メーカー
- PARKER(パーカー / イギリス):パーカー・IM
- LAMY(ラミー / ドイツ):サファリ
- WATARMAN(ウォーターマン / フランス):エキスパートエッセンシャル
この記事では、初心者にも扱いやすく価格も手頃なLAMY サファリを使っています。
LAMYはドイツの筆記メーカーで、このサファリは小学校の筆記教育のために開発されたモデル。ドイツの子供たちは、文字の書き方をまず万年筆で覚えます。
心地いい筆記感で、字を書くのが楽しくなります!
▼この記事で使った万年筆とコンバーターはこちらです♪
インク補充 | カートリッジ・コンバーター両用式 |
---|---|
ペン種 | EF(極細字), F(細字), M(中字), B(太字) |
ペン先 | 特殊合金 |
コンバーター | LZ28(0.81cc) |
キャップ | 嵌合式 |
参考価格 | 4,000円 |
万年筆の使い方
コンバーター式の万年筆で、インクの補充方法をご説明します!
動画で使い方をチェック▼
コンバーターってなに?
コンバーターとはインクの吸引器のこと。万年筆に常に装着して使います。
中に上下に動くピストンが入っていて、インクを吸い上げる仕組みになっています。
コンバーターでインクを補充!
実際にインクを補充してみます。
①コンバーターを装着する
※この作業は使い始めの時だけ。以降、常に装着した状態で使います。
②ピストンを一番下まで動かす
③ペン先をインクボトルにつけ、ピストンを一番上まで動かす
④インクを2~3滴ボトルに戻す
⑤ペン先をきれいにして補充完了!
インクを選ぶ3つのポイント
万年筆と同様、実はインクも奥が深い…。
「インク沼」といわれるほど、その魅力にハマる人が多いんですよ。
各メーカーから目移りするほど様々なインクが出ています。3つのポイントで選んでみてください!
①3つの種類から選ぶ
万年筆のインクは、染料インク・顔料インク・古典インクの3種類があります。
最もメジャーな種類。色材に染料が用いられており、水や油に溶ける性質を持っています。色素が紙に染み込むことで着色します。
メリット
万年筆内部でのインク詰まが起こりにくい・発色がいい
デメリット
滲みやすい・水に弱い・色あせしやすい
色材に顔料が用いられています。顔料はとても小さな粒子で、岩や土などを砕いたものが原料。
色素が紙の表面に付着することで着色します。固まらないよう毎日使うことがポイント!
メリット
滲みにくい・くっきりとした線が描ける・色あせしにくい・裏抜けしにくい
デメリット
乾燥して固まってしまうと溶けにくい(万年筆内部で固まると分解修理が必要)
顔料インクの粒子で万年筆が傷みやすいため、最低2ヶ月に1度の洗浄が必要です。
染料インクに鉄粉と酸を加えたもの。没食子(もっしょくし)インクとも呼ばれます。
乾くうちに酸化が進み、色が黒っぽくなっていくのが特徴。生産するメーカーは少ないですが、色の変化に魅了されるコアなファンも多くいます。
メリット
滲みにくい・色あせしにくい・保存性が高い
デメリット
ペン先の素材によっては錆びることがあるので、こまめなお手入れが必要
②カラーバリエーションで選ぶ
色のバリエーションでインクを決めるのもあり。
黒や濃紺しか使わないのか、多くの色を使い分けたいのか、どんな風に使っていきたいかイメージしてみてください。
③コストパフォーマンスで選ぶ
インクは消耗品。1回の吸引でいくら分消費するか、コスパに注目してみましょう。
コンバーターの容量はメーカーによって異なりますが、およそ0.5cc~1.5ccほどになります。
「毎日気兼ねなくたくさん書きたい」「多少高くてもインクにこだわりたい」など、使う頻度や用途と照らし合わせて選んでみてください!
スタンダードは「ブルーブラック」
各社からバリエーション豊富なインクがたくさん出ていますが、最も定番な色は「ブルーブラック」。
公的な書類やフォーマルな場面にもふさわしい色味です。
今回使ったのは、ペリカンの古典インク「ブルーブラック」。水に強く、色あせしにくいのが特徴です。紙の裏抜けも少ないので、書くことに集中できます。
▼この記事で使ったインクはこちらです♪
インク瓶もステキです!色は青よりの紺。あまり濃さはありませんが、軽やかできれいな色味です。さらっとしてインクフローは良好。乾くうちに色が濃くなっていくのもおもしろい。
濃淡がしっかりと出るので、温かい字になりますよ。コスパも素晴らしいです!
容量 | 62.5ml |
---|---|
カラー | 1種類 |
1ccあたり | 16円 |
インクボトル1瓶でどのくらい持つ?
ペリカンのインクは62.5ml。
LAMYサファリのコンバーターは0.81mlなので、約77回の補充が可能です。
1週間に1回補充すると考えると、インク1瓶で約1年半持つ計算になります。
【Tips】万年筆の6つの注意点
万年筆を購入する前に、知っておきたい6つのこと。
①万年筆とインクは基本的に同じメーカーのものを使う
インクの原料と万年筆の素材の組み合わせが悪いと、思わぬトラブルが起こる時があります。
特に、顔料インクや古典インクで注意が必要です。
初めて購入する場合は同じメーカーのもので揃えると安心。
と言いつつ、この記事では違うメーカーのものを使っています…。
なぜなら、この古典インクのブルーブラックが好きなんです…!(すみません)
LAMYサファリとペリカンのブルーブラックインクを一緒に使ってかれこれ8年は経ちますが、今のところトラブルはありません。
②落とさないように注意
万年筆のペン先はとても繊細。
頭から落ちてしまうと、ペン先が曲がって書けなくなることも。インクの乾燥を防ぐためにも、使わないときはキャップをしておきましょう。
もしペン先が曲がってしまったら修理に持っていきましょう。
③機内では使わない
万年筆を飛行機の機内で使うと、気圧の変化でインクが飛び散ることがあります。
別の筆記具を持参しておきましょう。
④長期間使わないときは必ず洗浄する
万年筆を長期間使わないときは、必ず中のインクを空にして、洗浄してから保管してください。
2~3ヶ月使わないでいると、中のインクが固まってしまうことがあるからです。固まってしまったらペン先をしばらく水につけて溶かして下さい。
⑤万年筆の洗浄方法
コンバーターを常用している場合の洗浄方法です!
- 主軸とコンバーターだけの状態にする
- コップに水またはぬるま湯を入れる
- ペン先を入れて、コンバーターで水を出し入れする
- 主軸だけの状態にし、一晩水につけてインクを溶かし出す
- 水道水で洗う
- 柔らかい布で水気を拭き取る
【Tips】インクの3つの注意点
インクに興味が出てきたら、知っておきたい3つのこと。
①インクを入れ替える時の注意
インクを入れ替える時は万年筆の中身を洗浄してください。残ったインクと混ざると思わぬ反応が起きることがあります。
②インク同士を混ぜない
同じ種類のインクでも、混ぜ合わせないようにしてください。組成が変化してトラブルになることがあります。
一方で、インクを混ぜ合わせて絵の具のように好みの色を作る楽しみ方もあります。
その場合は、混合OKのプラチナ万年筆「ミクサブルインク」をお使いください。
③古典インクとペン先の素材に注意
古典インクは酸性。ペン先がスチールだと腐食しやすいので金ペンがおすすめです。
ただ、現代の古典インクは改良されているので、すぐに腐食することはありません。
まとめ
ペンの大量消費をやめて、万年筆ライフを楽しんで!プラごみが減るだけでなく、「持たない」暮らしにもつながります。