ロンドン北部のスーパーマーケットでプラスチックフリーな商品エリアが導入され、話題になっています。
わずか10週間でプラスチックフリーに
英のスーパーマーケット”Thornton’s Budgens”は、プラスチック包装されていない商品を提供しており、その商品数は1,700点にも及びます。
パンやチーズ・野菜などの食品は、紙や金属・ガラス・ブナ材でできたネットなどが使われ、他にも数多くの代替素材を使った包装が用いられています。
Thornton’s Budgensはこのプラスチックフリー売り場を作るため、キャンペーングループであるA Plastic Planetと協力。わずか10週間で実現させました。
Thornton’s Budgensの創設者であるソーントン氏は、「プラスチック汚染をなくしていくこと、そして意識を高めていくことは非常に重要な問題。我々の生活や地球環境に影響を与えるこうした大きな問題に、私たちは強い姿勢で立ち向かうことができると信じている」と述べました。
プラスチック問題は、今や無関心ではいられないものになってきています。
Thornton’s Budgensのこの取り組みは、単に使い捨てプラスチックを削減しただけではありません。「プラスチック包装なしで幅広い商品を販売することができる」というメッセージでもあります。
大手スーパーチェーンでも脱プラの流れ
大手スーパーマーケットチェーンでも、使い捨てプラスチックを減らす取り組みが進められています。
Lidl
英のスーパーマーケットLidlでは、果物や野菜のパッケージに使われる黒色プラスチック容器を廃止することを決定。
黒色プラスチックはリサイクルが難しい素材。黒色カーボン顔料が使われており、リサイクル時に材質をチェックする光学選別システムでは検出できないためです。
現時点ではキノコやスイートコーン、アスパラガス、ブロッコリー、カリフラワーなどでパッケージの変更を実施しています。2019年8月までには、肉や魚にも拡大される予定です(INDEPENDENT Sep 2018)。
Co-op
Co-op(生協)のスーパーは、6,000万枚のプラスチック製レジ袋の廃止を決定。新たに生分解性のショッピングバッグを販売する方針です。
まずはイングランド、ウェールズ、スコットランド各地にある1,400店舗から開始し、最終的に全2,600店舗で実施される予定です。
さらに同社は、2021年までにボトル、ポット、トレイ、透明プラスチックケースに再生プラスチックを50%以上使用。2023年までには、自社ブランドの全ての包装がリサイクルしやすい素材になると見込んでいます(INDEPENDENT Sep 2018)。
Tesco
大手スーパーマーケットのTescoは、2019年末までに「リサイクルが困難なプラスチック包装」を全て廃止すると発表。
例えば、プラスチックフィルムに含まれるPVC(ポリ塩化ビニル)、ピザのトレイになどに使われるポリスチレン、水溶性バイオプラスチックがこれに当たります(INDEPENDENT May 2018)。
真の脱プラには10年かかる?
こうした大手チェーンの取り組みについて、一部では「もっと決定的に使い捨てプラを減らせるのではないか」という見方もあります。
A Plastic Planetの共同創設者であるサザーランド氏は、次のように述べています。
「Thornton’s Budgensは、市場の固定観念を揺るがしつつあります。消費期限が限られすぐに食べてなくなるような物を、数百年かけても分解しないプラスチックで包むのはおかしなこと。大手小売業者は、真の脱プラスチックを実現するには10年を要すると主張しているが、Thornton’s Budgensは10週間で実現可能であることを示した」
オランダのスーパー”Ekopkaza“では、すでに世界で初となるプラスチックフリーエリアが導入されています。
さらに英のスーパー”Iceland”は、5年以内に自社ブランドの全プラスチック包装を廃止すると公言。代わりに紙とパルプのトレイ、紙袋などリサイクル可能なものを導入する方針です(INDEPENDENT Jan 2018)。
すでにプラスチックフリーを成し遂げているスーパーが出てきている中で、10年を要するという主張は対応の遅さを浮き彫りにしかねません(INDEPENDENT Nov 2018)。