企業の動き
ローソン
ローソンは、アイスコーヒー用のプラスチック容器を紙製に切り替えます。この夏にも全14,000店で導入する方針です。
3月26日から都内5店のナチュラルローソンで試験的に実施。容器のフタはプラスチック製ですが、ストローなしで飲めるように飲み口がついています。容器1つあたり8割のプラスチックを削減でき、全店で導入することで年間540トンが削減できる見込みです(日経新聞 Feb 2019)。
セブンイレブン
セブンイレブンは、2月中旬から中国地方の一部でローソンと同様に紙製の容器を導入。ストローが必要な利用客には紙製のものを渡しています。現在のところ全国への拡大は未定とのこと。
レジ袋は植物由来のバイオマス原料を使用しており、2月末の時点でプラスチック使用量を3割削減しています。導入は加盟店の判断に委ねられます(日経新聞 Feb 2019)。
アディダスジャパン
アディダスジャパンは、海洋環境保護団体Parley(パーレイ)とコラボレーションした「アディダスxパーレイ テニスコレクション」を今年1月に販売。素材には、海に流れたプラスチックを回収・再生したものが使われています。
大阪なおみ選手が着用し話題になり、一時トップスとスコートが完売。同じ男性向けモデルも売り上げが伸びており、好調を博しています(日経MJ Feb 2019)。
凸版印刷
凸版印刷は、シャンプーやボディソープなどを入れる紙パック容器を開発。従来のプラスチック容器よりも石油由来原料が約75%減らすことが可能です。
ポンプや口栓、鮮度を保つフィルムはプラスチック製ですが、今後これらも植物などを原料にしたバイオプラスチックに切り替えていく方針。
紙パック容器は水の侵入やカビの発生を防ぐ作りになっており、お風呂場に置いたままでも衛生的に使用可能。まずはトイレタリー業界などでサンプル出荷を始めています(朝日新聞 Feb 2019)。
亀田製菓
亀田製菓は、プラスチックの使用量を減らした新商品「通のえだ豆」「通の焼き海老」を発売。プラスチックトレーをなくし、体積が3割小さいスリムな包装を採用しました。
これによって、年間75トン以上のプラ包装削減を見込んでいます。3月11日から全国のスーパーで発売されています(日経新聞 Feb 2019)。
JR東日本
JR東日本は、石灰石系素材「LIMEX(ライメックス)」を使い、駅構内のポスターや備え付けの貸し出し用傘を作成する方針です。
LIMEXは都内のスタートアップ企業TBMが開発した素材。すでに名刺や使い捨ての食器などに使われており、回収して容易に再利用が可能です。プラスチックや紙の代替素材として大きく注目されています(日経新聞 Mar 2019)。
レンゴー
ダンボールなど包装資材大手のレンゴーは、生分解性のショッピングバッグや農業用ネットを開発。木材由来の素材で、土に埋めると生分解されます。2019年中に発売予定です(日経新聞 Mar 2019)。
ウエルシア
ドラッグストア最大手のウエルシアは、プラ製レジ袋を2025年までに全廃。19年中にグループ全体の約1800店でレジ袋を3割削減します。
レジ袋が不要な利用客にはTポイントが付与されるとのこと。20年以降は有料化し、紙などの代替素材に変更していきます。
そのほか、店頭で販売するプラ製ストローも紙製に順次切り替える予定です(日経新聞 Mar 2019)。
ストライプインターナショナル
ストライプインターナショナル(岡山市)は、5月1日より「アースミュージック&エコロジー」など約30の国内全ブランド(約1400店)で、店頭でのレジ袋を紙製に順次切り替えると発表。プラスチック製のレジ袋は有料化されます(日経新聞 Mar 2019)。
はるやま商事
紳士服のはるやま商事は、プラスチック不使用の新たな包装紙を4月から導入。ネット通販でのワイシャツが対象となっており、紙の箱で包装するほか固定用のピンも廃止されます(日経新聞 Mar 2019)。
自治体の動き
滋賀県
滋賀県は、プラスチックごみが問題になっている琵琶湖の実態調査を4月から開始します。市民グループや市が回収したごみを種類別に分け、どこでどんな種類のゴミが発生したのか分析を行います。
釣りや湖水浴、バーベキューなどのレジャー客が多く訪れる琵琶湖では、漂着するゴミの3割がペットボトルやレジ袋、レジャーシートなどのプラスチック。H28には京都大学によるマイクロプラスチックの調査が行われています(産経ニュース Mar 2019)。
東京都
東京都の小池百合子知事は、2020年の東京五輪で行われるパブリックビューイング(PV)のライブサイトで、観客に提供される飲食物の容器にプラスチック製品を使用しないことを検討すると発表。
選手村で使用する食器については、再生可能な素材に切り替えるよう大会組織委員会に求める方針です。
このほか、都庁舎内でプラスチック使用量の削減目標を設定。実施状況を公表し、都内の企業にも同様の取り組みを求める考えです(JIJI.com Mar 2019)。
京都府・亀岡市
明智光秀が「敵は本能寺にあり」と叫んで出発した京都府の亀岡市が「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」をしたのは2018年12月。2030年までにプラごみゼロの街を目指します。
プラごみゼロと叫んでも期限が曖昧なケースが目立つ中、亀岡市のように「2030年」と、きちんとゴール(期限)を明記していることはとても素晴らしいです。
宣言から3ヶ月がたちました。一部店舗ではレジ袋の有料化を実施。在庫のプラスチック製のレジ袋がなくなり次第、紙製の袋に切り替えていきます(京都新聞 Mar 2019)。亀岡市の観光名所の保津川でも売店のレジ袋は有料化され、2020年からはプラスチック袋(ビニール袋)も販売されません(保津川下り)。
国の動き
プラスチック循環資源戦略案、専門委員会で正式に決定
国の中央環境審議会の専門委員会は、プラスチック循環資源戦略案を正式に決定しました。案には使い捨てプラスチックの排出を2030年までに25%削減やレジ袋の有料化が含まれています。排出削減の比較対象となる基準年については、産業界に配慮して明示されていません。
スーパーやコンビニでのレジ袋の有料化は、2020年度以降に義務化される方針です(日経新聞 Feb 2019)。
汚れた廃プラスチックの輸出を制限
政府は、有害な廃棄物の国外輸出を規制するバーゼル条約に、汚れた廃プラスチックを加えることを提案。相手国の同意が得られない限り、汚れた廃プラスチックの輸出入ができなくなります。
これまで、飲み残しや食べかすなどの汚れが残ったままのプラスチックは、規制がなくそのまま輸出されていました。
4月29日にスイスで開かれる締約国会議でノルウェーと共同で提案します。
原田環境相は「プラスチック汚染が国際的に懸念されている。日本がリードしていく」と述べ、6月に日本で開催されるG20首脳会議へ向け、議長国としての積極的な姿勢を発信しています(日経新聞 Feb 2019)。
汚れたプラスチックが国内に溢れてしまわないよう、対策が必要になります。原田環境相は「発生量を抑え、きちんとリサイクルできる体制を作っていく」と強調しています。
海洋プラごみ削減の研究を支援
政府は、海洋プラスチックごみ削減のための先端研究に10年間で最大100億円を支援します。
研究内容の公募は6月から開始。G20に先立って、総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍首相)では次のような研究のモデルケースが決定されます(日経新聞 Mar 2019)。
- 海に漂う微生物によるプラスチック分解の促進
- 海水に完全に溶けて無害化するプラスチック開発
- プラスチックを容易に回収するロボット開発
サイエンス20の声明を手交
安倍総理は、サイエンス20(S20)が共同でまとめた海洋プラスチック汚染対策の共同声明を受け取りました。
S20とは、G20各国の科学アカデミーで構成された組織。声明には、
- データに基づく助言の必要性
- 観測船による調査基盤の強化
- 海洋生態系のストレス要因を減らす必要性
- 地域レベルでの循環経済の実現
- 各国の科学者がアクセスできるデータ管理システムの確立
などの提言が盛り込まれています。
6月のG20首脳会議で、この声明が議論に活かされることを願います(首相官邸 Mar 2019, 日経新聞 Feb 2019)。
海ごみゼロアワード2019の開催
環境省は、全国から海洋ごみ対策の取り組みを募集し、優れたモデルを選定する「海ごみゼロアワード2019」の開催を発表。
6月に開催される海ごみゼロ国際シンポジウム(仮称)等での表彰や、プレリリース・報道関係者を通じて世界に発信します。
募集はアクション部門、イノベーション部門、アイデア部門の3つで、応募は4月10日(水)17:00まで。
詳細は海ごみゼロアワード特設サイトをご覧ください。