料理ではおなじみのテフロン加工のフライパン。
実はテフロンはプラスチックの一種で、健康への影響があることもわかっています。
昔から長く愛用されてきた鉄フライパンは丈夫で長持ち、何より安全な素材です。
ここでは、鉄フライパンの素敵な魅力と使いこなすためのヒントをお伝えします。
料理が楽しく、さらにおいしくなっていきますよ!
実は危険なテフロン加工のフライパン

「テフロン」とは商標で、デュポン社が作った熱可塑性フッ素樹脂(プラスチック)のことをいいます。
食材がするんと剥がれて調理しやすく広く普及していますが、その裏で健康上の問題が指摘されてきました。
フッ素樹脂はそのままだと金属と密着しにくいため、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)という助剤が使われます。
PFOAは自然界には存在しない化学物質で、発ガン性などの重大な影響を持つことが米の環境保護庁(EPA)から報告されているんです(Environmental Working Group)。
フッ素樹脂は高温(260℃以上)になると劣化が始まり、360℃以上で有毒なガスが発生します。フライパンに対して少ない材料を加熱すると、空焚き状態の部分が広くできます。そういった部分で高温になりやすいので注意が必要です。
PFOAだけでなく、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)なども4大有機フッ素化合物として知られており、クッキングシートやオーブントースター用のトレイ、アイロン、食品パッケージなどあらゆるところに使用されています。
米国ではPFOAを含む有機フッ素化合物(PFAS)の規制を強化すると発表しました(JETRO 2021 Oct.)。
デュポン社は2012年にPFOAの使用を中止しましたが、代わりに何を使っているのかは公表していません。
予防のためにも、フッ素加工されたものは避けるに越したことはありません。
鉄フライパンは素敵なメリットがたくさん!

テフロンは確かに便利。でも健康のことや製品としての寿命の短さを考えると、見直すべきものでもあります。
昔はどの家庭でも一般的だった鉄フライパン。使ってみるとたくさんの魅力に気づきます。
鉄フライパンは純粋な金属。だからとても丈夫で安全!
鉄フライパンはテフロンのように化学物質でコーティングなどされていません。高温にも耐え、危険な物質が放出されるということもありません。
テフロンだと普通に使っていてもコーティングが剥がれてしまいます。半年や1年でダメになって買い替え、なんていうこともザラですよね。
鉄フライパンはきちんとお手入れすれば「一生もの」とも言われています。
焦げついたらお湯を張ってふやかし、金属のヘラでガシガシやっても平気!
合成された化学物質ではなく、「鉄」なので体にも安心。材質の危険性どころか、調理することで鉄分を補えるという健康面でのメリットもあります♪
熱の伝わりが早い!炒め物がちゃちゃっとできる
鉄は熱伝導率が高く、短時間で火が通ります。
特に炒め物はあっという間!野菜を切っている時間の方が格段に長いです。
高温で焼き目をつける時も短時間でカリッとおいしそうな仕上がりに♪ あとは弱火でじっくり中まで火を通せば完璧です。
やっぱりお手入れは必要。でも難しくないです
長持ちの秘訣はサビを出さないようお手入れすること。
「お手入れなんて面倒臭そう」と思っていましたが、やってみるとそんなに大そうなものでもありません。
それに洗うときは洗剤がいらないので経済的。表面に油が残っていた方がいいので「しっかり油汚れを落とさなきゃ!」というプレッシャーもありません。
洗ったあとは火にかけて水気を飛ばしますが、横目で見ながら別のことだってできます。最後に油を塗る時も、「油ひき」というものを古布で簡単に作っておけば一瞬で終わります♪
鉄フライパンを上手に使う「5つ」のポイント

鉄フライパンを上手に使いこなすためのポイントが5つあります。
動画で使い方をチェック▼
https://youtu.be/lX4gcak0feA
【Tips1】初めて使う前に「から焼き」「油ならし」をする
初めて使うときに1回だけ行う作業。
鉄フライパンにはサビ止めの塗装がされています。使用する前にこれを焼き切るため、「から焼き」という作業が必要です。
ただしこの作業はガスコンロで行いますので、IHの場合はから焼きが不要なフライパン(窒化加工やシリコーン塗装)を選んでください。
「油ならし」はフライパンの表面に油をなじませ、サビや焦げを防ぐために行うもの。
どのフライパンも基本的な手順は同じですが、取扱説明書を参考にすると安心です。
\ から焼き /
- フライパンを洗剤で洗って水気をふき取る。
- 中火で加熱して、温まったら強火に。全体が玉虫色(メタリックな感じ)になるまでじっくり熱する。
- 手で触れるまでそのまま冷ます。
\ 油ならし /
- フライパンの1/3くらいまで油を注ぎ、弱火で5分ほど熱する。
- 火を止めて油をポットに戻す。
- フライパンに残った油をキッチンペーパーなどですり込むように拭く。
【Tips2】しばらくは「油返し」を調理前に行う

使い始めてしばらくは、調理する前に「油返し」をします。これを行うことで表面にしっかり油がなじみ、扱いやすくなっていきます!
油返ししなくても食材がくっつかなくなれば油がなじんだ証拠です。以降は毎回行う必要はありません。
\ 油返し /
- フライパンを中火で温める。
- 煙が出てきたら油(お玉1杯ほど)を入れ、全体になじませる。
- 油が熱くなってフライパンになじんだら、油をポットに戻す。
- 必要なら油を足して調理をはじめる。
ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、フライパンと仲良くなる「儀式」だと思って手をかけてあげてください♪
【Tips3】煙が出るまで熱して油を入れる
鉄フライパンは低い温度のまま調理するとくっつきやすくなります。
ポイントはフライパンをよく加熱してから油をそそぐこと。
空のフライパンを中火で熱して、うっすら白い煙が出たら油を入れます。油がなじんだら調理スタート!
調理中もあまり中身をかき混ぜないのがポイント。温度が下がってしまうからです。
▼鉄フライパンでの基本的な調理がよくわかります!料理に負担を感じている人にもおすすめな内容です♪
【Tips4】洗剤NG!水だけで洗ってOK
食器洗い洗剤はNGです。せっかくフライパンになじんだ油まで落としてしまいます。
タワシやささらを使って、水またはお湯で洗ってください。
あらかじめ古布やキッチンペーパーで油汚れを拭き取っておくことも忘れずに♪

▼この記事で使っているたわしはこちらです♪
\ 棕櫚タワシのレビューあります! /
スポンジじゃなくてもよくない?「食器洗い」をプラスチックフリーにする方法
【Tips5】洗ったら水気を飛ばして油をうすく塗る
水洗いの後はコンロで加熱して水気を飛ばします。
その後、油を薄く塗っておきます。
キッチンペーパーでもいいですが、毎回使うのはもったいない。
市販の「油ひき」で塗ったり、古布を利用して簡単に作るのもおすすめです♪

▼この記事で使っている鉄フライパンはこちらです♪
鉄フライパンの選び方とおすすめブランド
様々な種類がある鉄フライパン。5つの選ぶポイントと、多くの方が愛用しているブランドをご紹介します!
重さ
軽いものだと800g台、重いものは2kg以上にもなります。
厚みが薄いほど軽く、熱が伝わりやすいので炒め物にぴったり。
厚みのあるものは重たいですが、じっくり均一に火を入れるステーキに最適です♪
初めてでも使いやすいのは1kg前後のもので、厚みは1~2mmくらいが普段使いにちょうどいいですよ。
サイズ
サイズは直径10cm代の小さいものから30cm以上のプロ用まで豊富に用意されています。
直径24cmで1~2人用。
直径26cmでハンバーグがちょうど4つ焼ける大きさです。
直径28cmもおすすめ!たっぷり作り置きなど用意したい時に、一度に作れて便利です。
IH対応
ほとんどの鉄フライパンはIH調理器に対応していますが、中には直火専用のものもあるようです。念のために確認してくださいね。
から焼き・油ならし
鉄フライパンは最初に必ず「から焼き」と「油ならし」が必要です。
ですが、フライパンによってはこの作業をせず、すぐに使えるよう加工されたものもあります。
特にIHの場合は「から焼き」ができません。窒化加工やシリコーン塗装されたものなど、から焼き不要なフライパンを選んでくださいね。
【窒化加工】
自動車や航空機の部品にも施されるサビ防止の加工。鉄分子に窒素を浸透させて、サビにくさと強度を高めています(ビタクラフト)。塗装ではないので剥がれることはありません。
【シリコーン塗装】
食品グレードのシリコーンで塗装してサビを防止します。使ううちに塗装は自然に落ち、錆びやすい状態に。そのため使用後は油を薄く塗る必要があります(和平ブレイズ)。
持ち手
持ち手は鉄製・木製・プラスチック製があります。
おすすめは無塗装の木製♪ 木の質感がやさしく、滑りにくいので安心ですよ。
鉄の持ち手はフライパンとの一体感があって、とてもスタイリッシュ!調理中に熱が伝わってくるので、場合によってはミトンなどが必要です。
プラスチックも軽くていいですが、健康への影響が心配な難燃剤が含まれています。なるべく木や鉄を選ぶといいですね。
初めての鉄フライパンに♪ リバーライト「極JAPAN」28cm

サビに強く、長く使える工夫がグッド
サビにくくお手入れも簡単なリバーライトの極JAPANシリーズ。
その特徴は、
- 特殊熱処理でサビにくさと強度に優れている
- 窒化加工されているのでから焼きが不要
- 使用後のお手入れが簡単
- 持ち手が古くなったら取り替えができる
一般的な鉄フライパンは洗った後は火にかけて水気を飛ばし、油を塗ってから片付けます。
リバーライトは普通に水気を拭き取ったらそれでOK。加熱して水気を飛ばしたり、油を塗る必要がなくお手入れが簡単なんです。
また、持ち手が古くなったら新品と交換できるのも優れたポイント!
持ち手は無塗装の木製なので、長く使っていると劣化してきます。それを見越して持ち手だけ交換できるようになっているんです。1つのものを大事にする姿勢が伝わってきますね。
\ 持ち手の交換方法 /
1. 輪っか部分を回転させて引き抜き、木の部分を外す


2. 新しい木の持ち手を差し込む


3. 新しい輪っかを差し込んでしっかり締める
カリッ!トロッ!な目玉焼きが作れました
とりあえず誰でも簡単にできる料理、「目玉焼き」。
鉄フライパンだとくっつきそうなイメージがありますが、手順を守れば心配ありません。
加熱や油を入れるタイミングなど、目玉焼きで練習してみるのもいいですよ!
1. フライパンを中火で熱し、白っぽい煙が出てきたら油をイン!

2. 油がなじんでふわっと煙が上がったら弱火にする

3. 卵を割り入れる

4. 蓋をしてしばらく待つ

5. 黄身の表面が白っぽくなったら完成!


外側はカリッ!中はとろーりの幸せな一品ができあがりました♪

▼この記事で使っている鉄フライパンはこちらです♪
まとめ
テフロン加工のフライパンは長持ちしないうえ、一度剥がれると元には戻りません。もはや使い捨てプラスチックと言えます。
調理器も素材から見直すことで、ご自身や家族の健康を守り、また資源の大量消費をストップさせることができます。
ぜひ鉄フライパンの魅力を味わってみてください♪