ウミガメは、たった1つのプラスチック片を飲み込んだだけで致命的な事態に陥る可能性があることが、最新の調査で分かりました。
調査によると、1つのプラスチック片を食べたウミガメの5匹に1匹が命を落とし、14個のプラスチック片では死亡率が50%に上昇。
さらに、大人のカメよりも若いカメの方がよりプラスチックにさらされており、死亡する危険性が高いこともわかりました(Wilcox et al. 2018)。
ウミガメの死亡報告と座礁記録
世界中の海でプラスチックごみが急激に増えており、海洋生物に及ぼす影響はますます大きくなっています。
研究チームは、地球上の全ウミガメの約半数がプラスチックを摂取していると推定。ブラジル沿岸沖の若いアオウミガメでは90%にも上ります。
こうしたプラスチックへの曝露がウミガメにどのように影響するのか、研究チームはクイーンズランド州(豪)でウミガメに関する死亡記録と座礁記録を調査しました。
記録からわかったことは、200個以上のプラスチックを摂取すると必ず死に至るということ。
14個の摂取で死亡率は50%、1個では22%でした。
もちろん誤飲したプラスチックの数だけでなく、大きさや形も重要な要因です。
研究チームのHardesty氏(オーストラリア連邦科学産業研究機構:CSIRO)は、「ウミガメは消化管に入ったものを吐き出せない。薄いフィルム状のプラスチックをわずかに摂取しただけで、もし間違ったところに入ってしまうと消化管を塞ぐ可能性がある。最終的に腸閉塞を起こして死に至る」と述べます。
また、より硬いプラスチック片は閉塞だけでなく内臓の損傷を引き起こし、これが致命的なダメージとなって死ぬこともあるのです。
若いウミガメはより多くのプラスチックを摂取している
研究チームはまた、大人よりも子供のカメの方がはるかに多くのプラスチックを食べていることを突き止めました。
大人の摂取率が16%であるのに対し、子供は23%、さらに孵化後の赤ちゃんカメは54%と、幼いほど増えていきます。
これは、ウミガメが生息している場所と餌の食べ方に関係しています。
若くて小さなカメほど浮力が高く、軽いプラスチックがそうであるように海面近くを浮遊します。
また、大人のカメは海草や甲殻類をエサにしますが、子供はそれほど餌の選択肢がないため、目の前のプラスチックを食べてしまっていると考えられます。
ウミガメの寿命は約80年。繁殖期間は何十年もありますが、プラスチックを大量に摂取すれば長期的な影響が出てくるかもしれません。
現に、まだ生殖能力を持たない若いウミガメから不自然なほどたくさんのプラスチックが見つかっており、それが種の存続を脅かすのではないかと専門家たちは危惧しています。
この調査は、ウミガメが受けているプラスチック汚染の影響を定量化する、重要なステップだと言えます(BBC NEWS Sep 2018)。