人々の動き
ストローの販売が減少
ストローの販売が減少していることが、「日経POS情報」のプラスチック製品販売状況でわかりました。
1月のストロー販売額は、前年同月比で10.2%減。9ヶ月連続で前年同月を下回っています。
消費者の環境意識の高まりや、外食企業の相次ぐストロー廃止が販売減の背景にあると見られており、売り場の縮小を検討し始めているスーパーもあるようです。
調査会社「マクロミル」が昨年9月に実施した調査によると、「使い捨てストローは不要・過剰」と回答した消費者は46%に上りました(日経新聞 2019 Feb)。
洗剤などの詰め替え商品の販売が増加
日経POSによると、「詰め替え用衣料品用液体洗剤」の1月の販売額は、前年同月比で8.2%増。「詰め替え用液体ボディソープ」も同3.9%増でした。
ボトル商品に比べ、詰め替え商品はプラスチックごみが少なく、価格も安いため販売が伸びているようです(日経新聞 2019 Feb)。
詰め替え商品でも次々と買いたせばプラごみはあまり削減できません。シャンプー用石鹸など1つで長く使えるものを選ぶと効果的です。
企業の動き
キリンホールディングス
キリンホールディングスは、2027年までに国内のペットボトルに使用される樹脂の50%をリサイクル品にすると発表。
キリンでは全体で年間約6万トンのペット樹脂を使用しており、国内全体のペットボトル商品の1割を占めます。
良質な使用済みペットボトルを効率的に回収し、リサイクルする仕組みづくりを行う方針。また、ペット樹脂の使用量を減らすためペットボトルを軽量化するほか、人や動物が食べない「非可食性」の植物由来ペット樹脂の導入も検討しています(日経新聞 2019 Feb)。
アサヒ飲料
アサヒ飲料はプラスチック包装のないペットボトル商品を拡大します。
昨年5月にインターネット通販で「おいしい水 天然水 ラベルレスボトル」を試験的に発売。2~3月には「十六茶」「六条麦茶」「守る働く乳酸菌(乳酸菌飲料)」も順次売り出していきます。
2030年までにはペットボトル商品の重量全体の6割に植物由来樹脂やリサイクル素材を使う方針です(日経新聞 2019 Feb)。
モスフードサービス
モスフードサービスは、2020年までに「モスバーガー」でのテイクアウト用フォーク・スプーンを紙製に切り替えると発表。ストローの提供もやめ、選択制になります。
対象となるのは約250店の直営店。まず大前店(東京・品川)など5店舗で、2月から1ヶ月間試験的に導入されます(日経新聞 2019 Feb)。
小田急電鉄
小田急電鉄では、特急「ロマンスカー」の車内販売で1月から紙製ストローを導入。
小田急グループでは、「ホテル小田急」「ホテル小田急サザンタワー」ですでに廃止されています(日経新聞 2019 Feb)。
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋では、ストローを紙製に変更。2018年10月からすでに実施しており、年間で約6万本のストローが削減できる見通しです。
19年9月までに、国内の全ANAクラウンプラザホテルで紙製ストローに切り替える方針です(日経新聞 2019 Feb)。
リゾートトラスト
リゾートトラスト(名古屋)は、4月までにホテルやレストランで使用しているプラ製ストローを紙製に切り替えます。年間約100万本の削減。
年間コストは2倍以上に上がりますが、環境のため実施に踏み切ります(日経新聞 2019 Feb)。
プリンスホテル
プリンスホテルは、今年1月から7つのホテルでプラ製ストローを廃止。
スキー場やゴルフ場でも順次紙製に切り替える方針。年間240万本のプラ製ストローが削減される見込みです(日経新聞 2019 Feb)。
使い捨てプラを廃止する企業が増えている背景には、環境や社会に配慮した企業への優先的な投資「ESG投資」や、国連が定めた「SDGs(持続可能な開発)」の広がりが影響している面もあります。
自治体の動き
亀岡市(京都府)
亀岡市では、市内のスーパー・コンビニなど760店舗に対して、無料で配布されるレジ袋の禁止条例を制定する方針。20年夏の施行を目指しています。
違反した場合、指導・勧告のうえ事業者名が公表されます。条例で定める事例は日本では初めて。まず19年度中にレジ袋の有料化を進めます(日経新聞 2019 Feb)。
どこよりも早く、徹底的に実行していく姿勢が素晴らしいと思います。
東京都
東京都は、プラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)をビジネスモデルとする企業への支援策を2019年度予算案に盛り込みました。
事業化しやすい事例を都が紹介することで、各企業に取り入れてもらうことが狙い(日経新聞 2019 Feb)。
国の動き
日本政府
日本政府は、中央省庁や国の関連機関で営業する食堂で使われる使い捨てプラ製品を原則廃止することを発表。使い捨ての皿やコップ、ストローなどが原則使えなくなります。
テナントのコンビニやカフェについても、過剰な包装をやめ、レジ袋は環境に配慮したものに切り替えるよう求めています。
具体的な数値目標や違反した場合の罰則は設けていません。地方自治体は努力義務としています(日経新聞 2019 Feb)。
環境省
環境省と日本財団は、プラごみによる海洋汚染を防ぐべく、今春から共同で3つの事業に取り組むことを発表。
5月30日からの約1週間を「海ごみゼロウィーク」とし、市街地や海辺に落ちているプラごみを全国2千ヶ所で拾う活動を行います。
また、ゴミを減らす取り組みを表彰したり、国際シンポジウムを開催したりとプラごみ問題解決に向けた活動を行なっていきます(日経新聞 2019 Feb)。